製造原価とは
製造原価(せいぞうげんか)とは、製品を製造する際に発生した費用のことをいいます。
製造業で発生する費用は、原価と非原価の2つに分類することができ、原価はさらに製造原価と販売費及び一般管理費(以下、販管費)に分けられます。
原価計算の対象となる費用は、製造原価となります。
この説明ではイメージが湧かないという方向けに、ラーメン屋の事例を使ってそれぞれの原価の違いをわかりやすく解説します。
原価計算は、簿記の学習者はもちろん、ビジネスマンにも役に立つ知識となっています。
この記事を通じて、原価計算に少しでも興味を持って頂けますと幸いです。
目次
- 製造原価とは
- ラーメン屋の原価
- 原価計算の対象は製造原価
- 製造原価の内訳とは
- 発生形態による分類
- 製品との関連による分類
- 操業度との関連による分類
- 製造原価のまとめ
工業簿記の試験内容や学習方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
工業簿記に苦手意識を持つ方は、ぜひこの記事とあわせてご覧ください。
関連記事
【日商簿記2級】工業簿記の試験内容や難易度、学習方法について解説
boki.funda.jp/blog/article/industrial-bookkeeping-2
boki.funda.jp/blog
ラーメン屋の原価
ラーメンを作るための原材料やそれを作る人の給料、作るための電気代・ガス代などは、製品を製造するためにかかった費用ですので製造原価に入ります。
一方、ラーメンを売るための広告宣伝費や店舗の家賃、そのた管理システムの使用料などは、商品を販売するために間接的に発生した費用であるため販管費に該当します。
借入金の利息や、税金は非原価項目となるため、原価には該当しません。
原価計算の対象は製造原価
原価計算は、製品やサービスのコストを正確に把握し、価格設定や利益分析を行うための重要なプロセスです。
この計算の中心にあるのが製造原価です。
原価計算の手法についてを基礎からしっかり学びたい方は、下記のクイズにもぜひチャレンジしてみてください。
おすすめトレーニング
製造原価の内訳とは
製造原価は3つの方法で分けることができます。
- 発生形態による分類
- 製品との関連における分類
- 操業度との関連における分類
さらに、上記の3つの分類で登場する原価の種類は、全部で7種類あります。
- 材料費
- 労務費
- 経費
- 製造直接費
- 製造間接費
- 変動費
- 固定費
新卒くん
こんなに覚えられないです…
大手町さん
大丈夫です。
今から1つずつ事例を用いて解説しますね。
発生形態による分類
発生形態による分類とは、製品を製造するために、何を消費して発生した原価なのか?という観点から材料費、労務費、経費の3種類に分ける分類方法です。
- 材料費
- 労務費
- 経費
材料費
材料費は、製品の製造をするために消費した物品(材料)の消費額のことです。
ラーメン屋の麺やトッピングなどが材料費に当たります。
材料費についてさらに詳しく学びたい方は、下記の記事もお勧めです。
関連記事
【工業簿記】材料費とは?原価計算の基礎を図解でわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/material-cost
boki.funda.jp/blog
労務費
労務費は、製品の製造のために労働力を消費したときの消費額のことです。
ラーメン屋さんでラーメンを作っている人の給料が労務費に入ります。
労務費について、さらに詳しく知りたい方は下記の記事がお勧めです。
関連記事
【工業簿記】労務費とは?原価計算の基礎を図解でわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/labor-cost
boki.funda.jp/blog
経費
経費とは、製造原価のうち材料費と労務費以外のすべての費用のことを指します。
ラーメン屋の場合、店舗の賃料や電気代、ガス代などが該当します。
経費について詳しく知りたい方は下記の記事がお勧めです。
関連記事
【工業簿記】経費とは?原価計算の基礎を図解でわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/expenses
boki.funda.jp/blog
製品との関連による分類
製品との関連による分類とは、特定の製品を製造するために消費された金額を製品ごとに紐づけることができるか否かという観点から2種類に分ける分類方法です。
- 製造直接費
- 製造間接費
製造直接費
製造直接費とは、特定の製品を製造するための原価であり、特定の製品に直接集計することが可能な費用のことをいいます。
ラーメンを1杯作るのに必要となる具材は、製品と直接紐づけることができるため製造直接費となります。
製造間接費
製造間接費は、複数の製品の製造のために共通して発生し、特定の製品に直接集計できない費用のことをいいます。
スープを作る素材は、複数のラーメンに配分されるため1杯のラーメンへの紐づけが難しいです。したがって、スープの素材となる豚骨や調味料は製造間接費として分類します。
製造間接費について、さらに詳しく知りたい方は下記の記事がお勧めです。
関連記事
【工業簿記】製造間接費とは?原価計算の基礎をわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/manufacturing-overhead-cost
boki.funda.jp/blog
操業度との関連による分類
操業度との関連による分類とは、生産量(操業度)等に比例して、費用が発生するか否かという観点から2種類に分ける分類方法です。
- 変動費
- 固定費
変動費
変動費とは、売上に応じて変わる費用です。
麺やチャーシューのようなラーメンの具材は、提供料が増加するにつれて一緒に増加するため、変動費に当てはまります。
固定費
一方、固定費は、売上に関係なく一定の金額がかかる費用です。
ラーメン屋の店の家賃などは、提供料と関係なく一定額発生するため、固定費に含まれます。
変動費と固定費の分類について、さらに詳しく学びたい方は下記の記事もお勧めです。
関連記事
【図解】変動費と固定費の違いは?工業簿記の基礎をわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/cost-structure
boki.funda.jp/blog
製造原価のまとめ
今回は、「製造原価」の意味や種類、分類方法について解説してきました。
簿記2級の工業簿記の基礎となる部分ですので、しっかり理解しておきましょう。
工業簿記の基礎からしっかり学びたい方は、ぜひ学習アプリ「Funda簿記」を活用してみてください。
アプリを通じて、原価計算の基礎をしっかり身に付けることができます。