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基礎知識

2024/01/05

標準原価計算とは?工業簿記で頻出の論点をわかりやすく解説

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標準原価計算とは?

標準原価計算とは、企業が製品やサービスのコストを管理・予測するために、あらかじめ決められた基準(標準)に基づいて計算された原価を用いて製品原価を計算する方法です。これにより、企業は予算や目標を立てやすくなり、またコストの管理がしやすくなります
標準原価計算とは

この記事では、簿記学習者はもちろん、管理会計の学習者にもイメージが湧くように、標準原価計算をわかりやすく解説します。

目次

  • 標準原価計算とは?
  • 高校生でもわかる標準原価計算の事例
  • 標準原価計算の目的
  • 標準原価計算と実際原価計算の相違点は?
  • 実際原価計算
  • 標準原価計算
  • 両者の相違点
  • 標準原価計算の一連の流れは?
  • 原価標準の設定
  • 標準原価の計算
  • 実際原価の計算
  • 標準原価差異の計算
  • 標準原価差異の分析
  • 報告と改善
  • 標準原価計算のまとめ

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高校生でもわかる標準原価計算の事例

標準原価計算について、なかなかイメージを持ちにくい方もいらっしゃるかと思います。
そこで、まずはTシャツ屋さんの事例を通じて、標準原価計算の大枠を説明します。

標準原価計算を取り入れているTシャツ屋さんでは、1枚のTシャツを作るためどれくらいの費用がかかるかを事前に計算します。

Tシャツを作るためには、綿(材料)や労働者の給料(労働費)、電気代などの製造間接費が必要です。
Tシャツ屋さんは、1枚のTシャツにかかる原価を次のように設定しました。

  • 材料費(綿):300円
  • 労働費:1,000円
  • 間接費:200円

この場合、Tシャツを1枚作るために必要な原価1,500円(300円+1,000円+200円)となります。

ところが、実際にTシャツを作ってみると、当初の目標数値(1500円)とは異なる原価が発生することが頻繁に起こります。
この場合、目標値と実際原価の差を計算し、なぜ、原価の金額にズレが生じたのか原因を分析し、改善策を立てることが大切です。

このように標準原価計算を使うことで、Tシャツ屋さんはコスト管理ができるだけでなく、効率的な運営を目指すことができます。

標準原価計算の目的

標準原価計算の目的は、事業の予算策定を助けること、コスト管理を行い利益を最大化すること、そして効率を改善し無駄を削減することです。これらの目的を達成することで、企業は競争力を向上させ、事業の成功につなげることができます。

それぞれについて、詳しく解説します。

予算策定

企業は事業を進める上で、どれくらいのコストがかかるのか予測して予算を立てる必要があります。標準原価計算を行うことで、あらかじめコストを見積もりやすくなり、予算策定がスムーズに行えます。

コスト管理

企業はコストを適切に管理することで、利益を最大化することができます。標準原価計算を使って設定された目標のコスト実際のコストを比較することで、適切なコスト管理を行うことが可能となります。

効率改善

標準原価計算によって、企業はどの部分でコストがかかっているのか、どこに無駄があるのかを把握することができます。目標のコストと実際に発生したコストの差異分析を行うことで、無駄なコストを削減し、効率を改善することができます。また、作業プロセスや生産性の向上につながる改善策を見つけることも可能になります。

標準原価計算と実際原価計算の相違点は?

標準原価計算では、紛らわしい用語は登場します。その1つとして、標準原価計算と実際原価計算です。ここからは、この2つの原価の違いについてを、順を追って解説します。

実際原価計算

実際原価計算は、実際に発生したコストをもとに製品やサービスの原価を計算する方法です。これにより、企業は過去の実績をもとに将来の予測や改善策を立案することができます。
実際原価計算とは
実際原価計算では、以下の要素を用います。

  • 実際単価:実際に発生した材料や労務の1単位あたりのコスト
  • 実際消費量:製品やサービス1つあたりに実際に使用された材料や労務の量

標準原価計算

標準原価計算は、あらかじめ設定された基準(標準)に基づいて製品やサービスの原価を計算する方法です。これにより、企業は予算策定やコスト管理を行いやすくなります。
標準原価計算とは
標準原価計算では、以下の要素を設定します。

  • 標準単価:材料や労務にかかる1単位あたりのコスト
  • 標準消費量:製品やサービス1つあたりに必要な材料や労務の量

両者の相違点

標準原価計算は、事前に設定された基準に基づいて原価を計算する方法であり、予算策定やコスト管理に役立ちます。
一方、実際原価計算は、実際に発生したコストをもとに原価を計算する方法であり、過去の実績をもとに将来の予測や改善策を立案する際に役立ちます。

両者を比較することで、原価差異を分析し、効率改善やコスト削減のための改善策を見つけることができます。
両者の相違点

標準原価計算の一連の流れは?

ここからは、具体的な標準原価計算の流れを見ていきましょう。
今回はTシャツ屋さんを事例に、1つずつ手順を踏んで紹介します。

原価標準の設定

製品1つを作るのに必要な材料費、労働費、間接費を予測し、標準として設定する作業です。これによって、製品の原価を計算する基準ができます。
Tシャツ屋の事例で紹介します。
1枚のTシャツを作るために必要な原価標準は下記となります。

  • 材料費(綿100g):300円
  • 労働費(作業時間1時間):1,000円
  • 製造間接費(電気代など):200円

Tシャツを1枚作るにあたって1,500円の目標が設定されました。これが原価標準です。

標準原価の計算

設定した原価標準を元に、製品の標準原価を計算します。これは、1つの製品を作るのにかかる予想される費用の合計です。
Tシャツ屋の事例で標準原価を計算します。
原価標準は1,500円でした。この原価標準に基づき、10枚のTシャツを製造する場合、15,000円発生します。これが製品の標準原価です。

実際原価の計算

製品を実際に作る際にかかった費用を計算します。これが実際原価です。
Tシャツ屋の事例で実際原価を計算します。
上記の標準原価はあくまで目標です。実際に10枚のTシャツを作ったとき、下記のような結果になりました。

  • 材料費:3,400円
  • 労働費:9,800円
  • 製造間接費:2,000円

Tシャツを10枚作るにあたって15,200円の原価が発生しました。これが実際原価です。

標準原価差異の計算

標準原価と実際原価の違いを計算します。これにより、計画通りに製品が作られたのか、それとも予想外の費用がかかったのかを把握できます。
Tシャツ屋の事例で標準原価差異を計算します。

  • 標準原価:15,000円
  • 実際原価:15,200円
  • 標準原価差異:200円(不利差異)

目標(標準原価)は15,000円に設定していたものの、実際原価は15,200円でした。 従って200円だけ目標値を上回ってしまっています。

標準原価差異の分析

標準原価と実際原価の差異を、直接材料費差異、直接労務費差異、製造間接費差異に分けて分析します。これにより、どの部分で費用がかかりすぎたのか、または節約できたのかを明確に把握できます。
Tシャツ屋の事例で標準原価差異を分析します。
何が原因で差が発生したのかを特定するため、200円の不利な原価差異を分解します。
具体的には、直接材料費差異、直接労務費差異、製造間接費差異に分けて分析します。
直接材料費は400円だけ、目標値を上回りました。

  • 標準原価:3,000円
  • 実際原価:3,400円
  • 原価差異:400円(不利差異)

一方、直接労務費は200円、目標値を下回っています。

  • 標準原価:10,000円
  • 実際原価:9,800円
  • 原価差異:200円(有利差異)

製造間接費に関しては、目標と同様の結果となりました。

  • 標準原価:2,000円
  • 実際原価:2,000円
  • 原価差異:0円(差異無し)

結果、材料費が400円不利、労務費が200円有利であり、合計すると200円の不利差異となります。

報告と改善

原価差異の分析結果を報告し、必要であれば改善策を立案します。例えば、材料費がかかりすぎている場合は、より安価な材料を使ったり、無駄を減らしたりすることで改善できます。
Tシャツ屋の事例では、直接材料費が400円の不利差異、直接労務費が200円の有利差異として発生しています。
材料費は400円の不利差異が発生し、目標値を超えてしまいました。改善策として、材料費は安価な仕入先を探すか、綿の使用量を減らす方法を検討する必要があります。
労務費は200円の有利差異が発生し、目標値を下回りました。現場の従業員の技術が向上し、目標よりも短い時間でTシャツを製造することができたと判明しています。従業員の成績に反映すると共に、次期の原価標準の設定時にはよりストレッチな目標を用意するか検討する必要があります。

標準原価計算のまとめ

この記事では、「初心者でもわかる標準原価計算」をテーマに、簿記受験生向けに標準原価計算の基本概念から具体的な計算方法までをわかりやすく解説しました。標準原価の設定、計算、実際原価の計算、差異分析といった一連の流れを学ぶことで、コスト管理や生産効率向上に繋げる知識が身につきます。
ぜひこの記事を参考に、標準原価計算に関する理解を深めてください。

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この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

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トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

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