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基礎知識

2024/06/19

未収収益とは?簿記の勘定科目を仕訳事例を用いてわかりやすく解説

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未収収益は、決算整理仕訳でよく出題される経過勘定科目です。
この記事では、未収収益の取引の全体像や関連する勘定科目、具体的な仕訳事例についてを簿記初心者向けにわかりやすく解説します。未収収益の知識を身につけて、簿記のスキルを向上させましょう。
論点:未収収益

目次

  • 未収収益とは?
  • 高校生でもわかる未収収益の解説
  • 未収収益の確認問題
  • 正解発表
  • 未収収益と間違えやすい勘定科目を解説
  • 売掛金との違い
  • 未収入金との違い
  • 未収収益の取引の全体像は?
  • 未収収益による決算整理
  • 再振替仕訳
  • 収益の発生
  • 未収収益の仕訳事例
  • 資金を貸し付けた時の仕訳事例
  • 決算整理手続きを行う際の仕訳事例
  • 再振替仕訳を行う際の仕訳事例
  • 貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳事例
  • 簿記検定で出題される未収収益の問題
  • 未収収益の仕訳問題の配点
  • 未収収益の仕訳問題に挑戦
  • 未収収益の帳簿上の動き
  • 資金貸付時
  • 決算整理時
  • 未収収益のまとめ

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未収収益とは?

未収収益(みしゅうしゅうえき)とは、継続的なサービス提供に対する収益を後で受け取る権利を表す勘定科目です。決算時に当期の収益を調整する際に使用します。

未収収益は、継続的な役務に対する対価を後で受け取る債権であるため、簿記上では資産の勘定科目となります。
未収収益とは
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未収収益は、決算のタイミングで、サービスをすでに提供しているにもかかわらず、現金等をまだ受け取っていない場合に使用します。

具体例として、貸付金に対する見返りとして発生した利息を後で受け取るケースや、不動産を貸した際に発生する家賃を後で受け取るケースなどが挙げられます。
未収収益とは

高校生でもわかる未収収益の解説

ビジネス経験の無い学生の方向けに、身近な事例で未収収益を解説します。
今回は、家庭教師を例に考えてみましょう。

例えば、家庭教師として顧客に学習指導を行い、代金は翌月の後払いだったとします。この場合、4月のサービスを提供したとしても、4月末の時点ではまだ代金を受け取っていない状態です。この時、まだ受け取っていない収益を受け取る権利として「未収収益」を使用します。

未収収益の確認問題

それでは、ここまでの内容を踏まえて、未収収益に関する問題です。
未収収益の特徴として当てはまるものを選びなさい。
未収収益の確認問題

タップで回答を見ることができます

1

費用を払いすぎている状態

2

費用をまだ払っていない状態

3

収益をまだ受け取っていない状態

4

収益を受け取りすぎている状態

一緒に考えてみよう



正解発表

正解は、選択肢③収益をまだ受け取っていない状態です。
未収収益とは、まだ受け取っていない収益を受け取る権利を表す資産の勘定科目です。
選択肢①は前払費用、選択肢②は未払費用、選択肢④は前受収益の説明です。
未収収益の確認問題:正解発表

未収収益と間違えやすい勘定科目を解説

未収収益と間違えやすい勘定科目が存在します。ここからは、未収収益と間違えやすい下記の勘定科目について解説します。

  • 売掛金
  • 未収入金

売掛金との違い

売掛金(うりかけきん)とは、商品やサービスを販売したものの、まだ現金が未回収の状態である債権のことをいいます。
未収収益は、継続的なサービスの代金を後で受け取る場合に、収益の金額を適切な数値に修正するために使用します。一方で、売掛金は、本業の商品や単発のサービスを販売し後で代金を受け取る場合に使用します。
売掛金とは
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未収入金との違い

未収入金(みしゅうにゅうきん)とは、本業に関わる商品やサービス以外のものを販売し、後で代金を受け取ることができる権利として使用されます。

未収収益は、継続的なサービスの代金を後で受け取る場合に、収益の金額を適切な数値に修正するために使用します。一方で、未収入金は、本業以外の商品や単発のサービスを販売し後で代金を受け取る場合に使用します。
未収入金とは
未収入金の仕訳方法について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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未収収益の取引の全体像は?

未収収益を用いた取引の流れの全体像を紹介します。
未収収益の取引の全体像

未収収益による決算整理

決算時に未収収益による決算整理を行います。
今期の収益を計上するとともに、未収収益が増加します。

再振替仕訳

その後、翌期に再振替仕訳を行います。
収益を取り消すと同時に、未収収益が減少します。

収益の発生

期日が到来したため、代金を受け取ります。
結果として、収益が発生し、代金が増加します。

未収収益の仕訳事例

簿記上の取引事例を通じて、未収収益の使い方を解説します。

資金を貸し付けた時の仕訳事例

1/1に取引先に現金1,000万円を貸し付けた。毎月10万円の利息が発生し返済日である12/31に1年分の利息120万円と共に元本を受領する。

上記の取引事例を使い、資金貸付時の流れを順に説明します。
資金を貸し付けた時の仕訳事例

貸付時:貸付金の増加と現金の減少

他社や他人に貸し付けた場合には、「貸付金」という勘定科目が増加します。
そのため、借方(左側)に貸付金(資産)1,000万円を記入します。

また、現金で貸し付けたため、「現金」という勘定科目が同時に減少します。
したがって、貸方(右側)に現金(資産)1,000万円を記入します。
資金を貸し付けた時の仕訳事例
貸付金とは、資金を貸し付けた際に発生する資産の勘定科目です。
貸付金の仕訳方法について知りたい方は、下記の記事がおすすめです。

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決算整理手続きを行う際の仕訳事例

決算整理により、3か月分の受取利息30万円を計上する(10万円×3か月)。利息の受取りは元本返済時のため、未収収益として計上する。

上記の取引事例を使い、決算整理手続きを行う際の仕訳の流れを順に説明します。
決算整理手続きを行う際の仕訳事例

決算整理仕訳時:受取利息の発生

資金を貸し付けている見返りとして利息が発生します。利息は時間に応じて発生するため3か月分(1/1~3/31)の受取利息を計上します。
そのため、貸方(右側)に受取利息(収益)30万円を記入します。
決算整理手続きを行う際の仕訳事例
貸付金等に対する見返りとして発生する利息を表すときは、受取利息という収益の勘定科目を使います。
利息が発生した際の仕訳方法について、詳しく学びたい方は下記の記事がおすすめです。

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決算整理仕訳時:未収収益の増加

収益が発生しているものの、未だ現金として受け取っていません。したがって、収益を受け取る権利として「未収収益」という勘定科目が増加します。
そのため、借方(左側)に未収収益(資産)30万円を記入します。
決算整理手続きを行う際の仕訳事例

再振替仕訳を行う際の仕訳事例

1期目に計上した未収収益(資産)を2期目の期首に振り替える仕訳を行う。

上記の取引事例を使い、再振替仕訳を行う際の仕訳の流れを順に説明します。
再振替仕訳を行う際の仕訳事例

再振替仕訳時:未収収益の減少

まずは前期に計上した未収収益を取り崩す仕訳を行ないます。未収収益を取り崩すためには同額の未収収益を貸方に計上し、未収収益の金額を0とします。
そのため、貸方(右側)に未収収益(資産)30万円を記入します。
再振替仕訳を行う際の仕訳事例

再振替仕訳時:受取利息の取り消し

同時に、前期に収益に計上した分の受取利息(1/1~3/31に相当する額)を取り消しますこの仕訳により、2期目の正確な受取利息の額を算出することができます
したがって、借方(左側)に受取利息(収益)30万円を記入します。
再振替仕訳を行う際の仕訳事例

貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳事例

12月31日に貸し付けた1,000万円を受領した。また、12か月分の利息である120万円を現金で受け取った。

上記の取引事例を使い、貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳の流れを順に説明します。
貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳事例

元本回収時:現金の増加と貸付金の減少

貸付金が返済された場合には、「貸付金」という勘定科目が減少します。
そのため、貸方(右側)に貸付金(資産)1,000万円を記入します。

また、現金で回収したため、「現金」という勘定科目が同時に増加します。
したがって、借方(左側)に現金(資産)1,000万円を記入します。
貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳事例

利息受取時:現金の増加と受取利息の発生

利息を受け取った場合には、「受取利息」という勘定科目が発生します。
そのため、貸方(右側)に受取利息(収益)120万円を記入します。

利息は現金で受け取ったため、「現金」という勘定科目が同時に増加します。
したがって、借方(左側)に現金(資産)120万円を記入します。
貸し付けた資金を利息とともに回収した時の仕訳事例

補足

最終的に決算書に計上される受取利息の金額は、90万円(120万円-30万円)になります。なぜなら、再振替仕訳の際に受取利息30万円を取り消したためです。

簿記検定で出題される未収収益の問題

未収収益は、簿記検定でも頻出の論点です。
特に日商簿記検定3級の試験では、第1問で未収収益の問題が頻繁に出題されています。

具体的には、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題です。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。

未収収益の仕訳問題の配点

未収収益の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、未収収益の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。

未収収益の仕訳問題が苦手な方や第1問の仕訳問題で満点を狙っている方は、ぜひ下記の試験対策記事を参考にしてみてください。

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未収収益の仕訳問題に挑戦

簿記検定で頻出の論点である未収収益の仕訳問題を解けるようになるためには、練習問題をたくさん解く必要があります。
Funda簿記の公式LINEでは、仕訳問題を無料で解くことができます。
この記事の内容の復習として、早速、下記のLINEアプリから練習問題に挑戦してみてください。
Funda簿記の公式LINE

未収収益の帳簿上の動き

最後に、未収収益の帳簿上での動きを解説します。
帳簿上の動きは、簿記を理解する際に、非常に重要となるため、必ず押さえておきましょう。

資金貸付時

資金を貸し付けた際は、貸付金が増加し、手元にある現金が減少します。
資金貸付時の帳簿上の動き

決算整理時

3か月分の利息を未収収益として計上します。
決算整理時の帳簿上の動き

翌期首の再振替仕訳時

翌期になった際は、前期に計上した未収収益の再振替仕訳を行います。
翌期首の再振替仕訳時の帳簿上の動き

収益の発生時

貸し付けたお金を受領したため、貸付金が減少し現金が増加します。
また、返済期日に際して利息を受け取ったため、受取利息が発生し現金が増加します。
収益の発生時の帳簿上の動き

未収収益のまとめ

今回は簿記3級に登場する「未収収益」という勘定科目の意味や取引事例を解説しました。
未収収益には間違えやすい勘定科目として、売掛金や未収入金があるため注意しましょう。
また、未収収益の取引の流れは仕訳問題で頻出のため覚えておく必要があります。
試験問題でも登場する可能性の高い勘定科目であるため、しっかり理解しておきましょう!

少しでも会計や決算書に興味を持った方は、下記の公式LINEも覗いてみてください。
初学者向けに、基礎から解説する情報を発信しています。
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また、基礎からしっかり学びたい方は、ぜひ学習アプリ「Funda簿記」をご覧ください。
アプリ内で決算書の構成や作り方を学ぶことができます。
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この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

Funda社運営

トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

著者:川上 理紗子

【監修】 川上 理紗子

公認会計士

公認会計士。慶應義塾大学卒業後、PwCあらた有限責任監査法人(現:PwC Japan有限責任監査法人)に入社。Assurance部門に所属し、テクノロジー・エンターテインメント会社の会計監査等に従事。「会計をもっと楽しく」というFundaの考えに魅力を感じ、2022年より『Funda簿記』サービスに携わる。

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