帳簿に記録されている現金残高と、実際に手元に存在する現金有高の金額が一致しないケースが存在します。この原因不明のズレが生じている状態を「現金過不足」といい、多くの場合、記録の誤りや不適切な管理により生じます。
この記事では、現金過不足の意味や取引の流れ、具体的な仕訳事例についてを簿記初心者向けにわかりやすく解説します。
目次
- 現金過不足とは?
- 現金過不足の取引の流れ
- 現金過不足の取引で登場する勘定科目
- 現金過不足の確認問題
- 現金過不足の仕訳方法は?
- 現金過不足の発生時の仕訳
- 現金過不足の原因が判明した時の仕訳
- 現金過不足の原因が不明だった時の仕訳
- 簿記検定で出題される現金過不足の問題
- 現金過不足の配点
- 現金過不足の仕訳問題
- 現金過不足の帳簿上の動き
- 現金過不足の発生時
- 現金過不足の原因判明時
- 現金過不足の原因不明時
- 現金過不足のまとめ
なお、簿記を基礎からしっかり学びたい方は、まずは先に下記のトレーニングから始めてみてください。
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現金過不足とは?
現金過不足(げんきんかぶそく)とは、帳簿上の現金と実際の現金が合わない時に一時的に使用する仮勘定です。仮勘定とは、一時的な記録を行う際に使用される勘定科目であり資産、負債、純資産、収益、費用のいずれにも属さない科目のことをいいます。
現金過不足が生じている時は、帳簿の現金残高を実際の現金有高となるように帳簿上の現金を調整する処理を行う必要があります。
勘定科目について基礎から学びたい方は、下記の記事がおすすめです。
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現金過不足の取引の流れ
それでは、現金過不足の取引の流れを見ていきます。
まず、現金過不足が発生した際は、現金勘定の残高を実際の有高になるように修正します。
原因判明時
現金過不足の原因が判明した場合は、現金過不足勘定を取り消し、原因となった勘定科目へ修正します。
原因不明時
決算日までに原因が判明しない場合は、現金過不足勘定を取り消し、雑損又は雑益勘定へ振り替えます。
現金過不足の取引で登場する勘定科目
現金過不足の取引で登場する主な勘定科目は以下の2つです。
- 雑損(費用の勘定科目)
- 雑益(収益の勘定科目)
雑損
雑損(ざっそん)とは、原因不明等で他の勘定科目に該当しない損失が発生した際に使用する勘定科目です。
会計上では、費用の勘定科目となります。
雑益
雑益(ざつえき)とは、原因不明等で他の勘定科目に該当しない儲けが発生した際に使用する勘定科目です。
会計上では、収益の勘定科目となります。
雑損・雑益の仕訳方法について学びたい方は、下記の記事をご覧ください。
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現金過不足の確認問題
それでは、ここまでの内容を踏まえて、現金過不足に関する問題です。
現金過不足が発生した時、帳簿の現金残高と実際の現金有高どちらに合わせるでしょう?
タップで回答を見ることができます
帳簿の現金残高
実際の現金有高
正解発表
正解は、選択肢②実際の現金有高です。
現金過不足が生じている時は、帳簿の現金残高を実際の現金有高となるように帳簿上の現金を調整する処理を行います。
現金過不足の仕訳方法は?
現金過不足に関する仕訳は、期中の取引と決算整理にて行われます。
現金過不足の仕訳の流れについてを、簿記の取引事例を通じてわかりやすく解説します。
現金過不足の発生時の仕訳
現金の帳簿残高は800円であったが残高を調べたところ500円だった。
上記の取引事例を使い、現金過不足が発生した時の仕訳の流れを順に紹介します。
現金過不足が発生した時は、帳簿の現金残高を実際の現金有高にあうように修正します。
実際の現金に合わせるため、帳簿の現金を300円減少させます。そのため、貸方(右側)に現金(資産)300円を記入します。
また、現金過不足が発生した場合は一時的に仮勘定として「現金過不足」という勘定科目を使います。したがって、借方(左側)に現金過不足(仮勘定)300円を記入します。
現金過不足の原因が判明した時の仕訳
現金過不足の原因を調べたところ、旅費交通費の記帳漏れが判明した。
上記の取引事例を使い、現金過不足の原因が判明した時の仕訳の流れを順に紹介します。
現金過不足の原因が判明した時には、仮勘定として設定していた現金過不足を取消し、原因となった勘定を記入します。
まず、借方(左側)に計上していた現金過不足を取り消します。そのため、貸方(右側)に現金過不足(仮勘定)300円を記入します。
現金過不足の原因は旅費交通費の記帳漏れであったため、旅費交通費を記録します。したがって、借方(左側)に旅費交通費(費用)300円を記入します。
現金過不足の原因が不明だった時の仕訳
現金過不足の原因を調べても、過不足の理由は判明しなかった。
上記の取引事例を使い、現金過不足の原因が不明だった時の仕訳の流れを順に紹介します。
現金過不足の原因が決算日までに判明しなかった場合、仮勘定として設定していた現金過不足を取消し、雑損または雑益に振り替えます。
まず、借方(左側)に計上していた現金過不足を取り消します。そのため、貸方(右側)に現金過不足(仮勘定)300円を記入します。
現金過不足の原因が不明であったため、雑損または雑益に振り替えます。今回は帳簿上の現金と比較して実際の現金有高が不足しているため、雑損として損失計上します。したがって、借方(左側)に雑損(費用)300円を記入します。
帳簿上の現金と実際の現金有高を比較し、実際の現金有高の方が多い場合は雑益、少ない場合は雑損で処理します。
新卒くん
実際の現金有高の方が多かったら雑益で計上するんですね!
現金過不足の発生時や原因不明時には、実際の現金有高を軸に考えることがポイントです。
本番の試験ではどちらに合わせるか混乱しないようしっかりと理解しておきましょう!
決算整理仕訳についてセットで学びたい方はこちら
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簿記検定で出題される現金過不足の問題
現金過不足は、簿記検定でも頻出の論点です。
特に日商簿記検定3級の試験では、第1問と第3問で現金過不足の問題が頻繁に出題されています。
第1問で出題される問題は、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題です。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
また、第3問では、決算整理前残高試算表に決算整理事項を加味して、決算整理後の数値を表に入力する決算書作成問題が出題されます。
この決算書作成問題に解答するためには、決算整理事項の内容をもとに決算整理仕訳を作成する必要があります。
現金過不足の配点
現金過不足の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
また、決算整理仕訳は、第3問で問われます。
第3問は35点満点で、10個の決算整理仕訳が出題される問題構成となっています。
したがって、現金過不足の論点を理解することで、約6~9点をものにすることができます。
現金過不足の仕訳問題が苦手な方や第1問の仕訳問題で満点を狙っている方は、ぜひ下記の試験対策記事を参考にしてみてください。
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第3問の決算整理仕訳を対策したい方は、下記の記事がおすすめです。
本試験問題の解き方や決算書への記入方法を詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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現金過不足の仕訳問題
簿記検定で頻出の論点である現金過不足の仕訳問題を解けるようになるためには、練習問題をたくさん解く必要があります。
Funda簿記の公式LINEでは、仕訳問題を無料で解くことができます。
この記事の内容の復習として、早速、下記のLINEアプリから練習問題に挑戦してみてください。
現金過不足の帳簿上の動き
最後に、現金過不足の帳簿上での動きを解説します。
帳簿上の動きは、簿記を理解する際に、非常に重要となるため、必ず押さえておきましょう。
現金過不足の発生時
現金過不足が発生した時は、帳簿の現金残高を実際の現金有高にあうように修正します。
現金過不足の原因判明時
現金過不足の原因が判明した時は、現金過不足勘定を取り消し、原因となった勘定科目へ修正します。
現金過不足の原因不明時
決算日までに原因が判明しない場合は、現金過不足勘定を取り消し、雑損又は雑益勘定へ振り替えます。
現金過不足のまとめ
今回は簿記3級に登場する「現金過不足」という勘定科目の意味や取引事例を解説しました。
現金過不足が発生した時は、帳簿の現金残高を実際の現金有高となるように帳簿上の現金を調整する処理を行います。
混乱する方が多い論点ですので、しっかりと理解し本番で間違えないように注意しましょう!
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