【簿記3級】有形固定資産の購入の仕訳問題をわかりやすく解説

簿記3級で出題される有形固定資産の購入の仕訳問題

簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。


部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。


この記事では、簿記3級で出題される有形固定資産の購入の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

なお、今の実力を試したい方向けに、有形固定資産の購入の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。

有形固定資産の購入の概要

有形固定資産とは、営業活動のために長期にわたって使用する目的で保有される有形の資産のことをいいます。
有形固定資産を購入した際は、取得原価に取得にかかる付随費用を加えた金額を計上します。


ここでは「固定資産税の支払い」・「固定資産の改修」・「減価償却」も有形固定資産の購入の論点として扱います。


固定資産の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。

有形固定資産の購入の出題傾向

日商簿記3級での有形固定資産の購入の仕訳問題は、大きく4パターンに分かれます。

1. 有形固定資産の取得
2. 固定資産税の支払い
3. 有形固定資産の改修
4. 減価償却

それぞれ一つずつ解説していきます。

①有形固定資産の取得

有形固定資産の建物等を取得したときの仕訳パターンです。
このとき、取得した有形固定資産である建物等が増加しますので、借方（左側）に建物等を記入します。
なお、付随費用である仲介手数料も含めた金額を記入します。

②固定資産税の支払い

固定資産税を支払ったときの仕訳パターンです。
この時、租税公課が発生しますので、借方（左側）に租税公課を記入します。

③有形固定資産の改修

有形固定資産の建物等を改修したときの仕訳パターンです。
この時、資本的支出の部分については建物等の増加で表現しますので、借方（左側）に建物等を記入します。
一方で、収益的支出の部分については修繕費の発生で表現しますので、借方（左側）に修繕費を記入します。

④減価償却

有形固定資産の減価償却を行ったときの仕訳パターンです。
この時、減価償却費が発生しますので、借方（左側）に減価償却費を記入します。
また、減価償却累計額が増加しますので、貸方（右側）に減価償却累計額を記入します。

簿記3級での有形固定資産の購入の配点

有形固定資産の購入の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1～2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、有形固定資産の購入の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。

第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

有形固定資産の購入の問題集

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、有形固定資産の購入の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。

• 級：簿記3級
• 出題の方式：カテゴリー別
• 論点の選択：有形固定資産の購入
• 問題の出題数：自由

また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。

有形固定資産の購入の仕訳問題を解く手順

有形固定資産の購入の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。

1. 問題文から論点を読み取る
2. 問題文から取引パターンを読み取る
3. 勘定科目を仕訳に記入する

ここからは、有形固定資産の購入の仕訳問題を解く手順を１つずつ解説します。

①問題文から論点を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引（「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引）と異なる点のことを指します。

下の事例では「建物」「支払った」と書いてあるため、有形固定資産の購入の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターンを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。（例：「商品の販売時」と「掛け代金の回収時」など）

下の事例では「建物を購入」と書いてあるため、有形固定資産の取得のパターンであることが読み取れます。


論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。

有形固定資産の購入の仕訳問題の事例

以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。

有形固定資産の購入の仕訳問題

この問題の正解は選択肢③でした。

有形固定資産の購入の仕訳問題の解答解説

「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。

①問題文から論点＝有形固定資産の購入を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「土地」「現金で納付」と書いてあるため、有形固定資産の購入の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターン＝固定資産税の支払いを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。

今回の問題では「固定資産税の納付」と書いてあるため、固定資産税の支払いのパターンであることが読み取れます。

【今回の取引パターン】

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には２つの勘定科目が登場します。

租税公課の発生

問題文の「固定資産税を現金で納付した」より、租税公課が発生しています。
租税公課は損益計算書の費用に含まれるため、借方（左側）がホームポジションです。
したがって、租税公課の発生を表現するために、租税公課をホームポジションの借方（左側）に記入します。

現金の減少

問題文の「固定資産税を現金で納付した」より、現金が減少しています。
現金は資産グループに属する勘定科目であるため、貸方（右側）がホームポジションです。
したがって、現金の減少を表現するために、現金をホームポジションとは逆の貸方（右側）に記入します。


以上より正しい仕訳は選択肢③となります。

有形固定資産の購入の仕訳問題の解き方まとめ

簿記3級の有形固定資産の購入の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。

試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう！

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう！