簿記3級で出題される消費税の決算整理仕訳
簿記3級では、決算整理前残高試算表に決算整理事項を加味して、決算整理後の数値を表に入力する決算書作成問題が出題されます。
この決算書作成問題に解答するためには、決算整理事項の内容をもとに決算整理仕訳を作成する必要があります。
決算整理仕訳とは、決算書を作成するために数値の整理を行ったり、期中の取引の漏れなどを反映させる最終的な修正仕訳のことをいいます。
決算整理仕訳については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ本記事とあわせてご覧ください。
関連記事
【図解】決算整理仕訳とは?簿記3級で頻出の論点をわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/unfinished-business
boki.funda.jp/blog
この記事では、簿記3級で出題される消費税の決算整理仕訳の解き方について解説します。
決算整理仕訳のパターンや解く手順を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には、本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される消費税の決算整理仕訳
- 消費税の概要
- 消費税の決算整理仕訳
- 簿記3級での消費税の決算整理仕訳の配点
- 消費税の仕訳問題集
- 消費税の決算整理仕訳の作成手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
- ③決算整理によって変動する金額を計算する
- ④決算整理仕訳を行う
- 消費税の決算整理仕訳の事例
- 消費税の決算整理仕訳の問題
- 消費税の決算整理仕訳の解答解説
- 消費税の決算書への入力方法
- 決算整理後残高試算表への入力
- 貸借対照表・損益計算書への入力
- 精算表への入力
- 消費税の決算整理仕訳のまとめ
なお、今の実力を試したい方向けに、消費税の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。
おすすめトレーニング
消費税の概要
消費税とは、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税のことを言います。
消費税は、最終的に税務署に納付する必要があり、日々の取引で会社が受け取った消費税から、支払った消費税を差し引き納税します。
消費税の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
関連記事
消費税とは?簿記の勘定科目を仕訳事例を用いてわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/consumption-tax
boki.funda.jp/blog
消費税の決算整理仕訳
日商簿記3級の第3問で出題される、消費税の決算整理仕訳は1パターンです。
1.未払消費税の計算
それでは、解説していきます。
①未払消費税の計算
仮払消費税と仮受消費税の差額を計算して消費税の処理を行います。
このとき、未払消費税が発生しますので、貸方(右側)に未払消費税を記入します。
簿記3級での消費税の決算整理仕訳の配点
消費税の決算整理仕訳は、簿記3級試験の第3問で問われます。
第3問は35点満点で、10個の決算整理仕訳が出題される問題構成です。
したがって、消費税の決算整理仕訳ができるようになることで、約3点をものにすることができます。
第3問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際のポイントなどについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事
簿記3級の第3問「決算書作成問題」を得点源にするコツ
boki.funda.jp/blog/article/boki3-question3
boki.funda.jp/blog
消費税の仕訳問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、消費税の決算整理仕訳が登場する決算書作成問題を解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです、
- 級:簿記3級
- 大問:第3問
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから無料で問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
消費税の決算整理仕訳の作成手順
消費税の決算整理仕訳の作成手順は次の4ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
- 決算整理によって変動する金額を計算する
- 決算整理仕訳を行う
順に解説していきます。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている決算整理の論点を読み取ります。
下の事例では「消費税の処理」と書いてあるため、消費税の論点であることが読み取れます。
②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
次に、問題文から問われている決算整理仕訳のパターンを読み取ります。
消費税の処理は1パターンなので、未払消費税の計算の決算整理仕訳パターンであることが読み取れます。
③決算整理によって変動する金額を計算する
次に、決算整理によって変動する金額を計算します。
下の事例では決算整理前残高試算表に記載されている仮払消費税768,000、仮受消費税1,280,000を用います。
金額の読み取りミスや計算ミスをしないよう注意しましょう。
④決算整理仕訳を行う
最後に、決算整理仕訳のパターンと計算した金額をもとに、決算整理仕訳を行います。
消費税の決算整理仕訳の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの決算整理仕訳に挑戦してみましょう。
「作成手順」を参考に、決算整理仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。
消費税の決算整理仕訳の問題
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
消費税の決算整理仕訳の解答解説
この問題の正解は選択肢③でした。
「作成手順」に沿って、この問題の解き方を解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている論点を読み取ります。
今回の問題では「消費税の処理」と書いてあるため、消費税の論点であることが読み取れます。
②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
次に、問われている決算整理仕訳のパターンを読み取ります。
消費税の処理は1パターンのみなので、決算整理は未払消費税の計上のパターンであることが読み取れます。
【今回の決算整理仕訳のパターン】
③決算整理によって変動する金額を計算する
次に、決算整理によって変動する金額を計算します。
今回の問題では、決算整理前残高試算表に記載されている仮払消費税600,000、仮受消費税1,000,000を用います。
④決算整理仕訳を行う
最後に、決算整理仕訳を行います。
仮払消費税の減少
期中に消費税を支払ったときに計上した仮払消費税を減少させます。
仮払消費税は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、仮払消費税の減少を表現するために、仮払消費税をホームポジションとは逆の貸方(右側)に記入します。
仮受消費税の減少
期中に消費税を受け取ったときに計上した仮受消費税を減少させます。
仮受消費税は負債のグループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、仮受消費税の減少を表現するために、仮受消費税をホームポジションとは逆の借方(左側)に記入します。
未払消費税の増加
仮受消費税と仮払消費税を相殺し、その差額として将来支払う納付額である未払消費税を発生させます。
未払消費税は負債のグループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、未払消費税の発生を表現するために、未払消費税をホームポジションの貸方(右側)に記入します。
以上より、正しい決算整理仕訳は選択肢③となります。
消費税の決算書への入力方法
簿記3級の第3問では決算整理仕訳を反映させた決算整理後の数値を決算書に入力して解答します。
そこで、最後に問題形式ごとの決算書への入力方法を解説します。
なお、第3問で出題される問題形式は以下のとおりです。
- 決算整理後残高試算表の作成
- 貸借対照表・損益計算書の作成
- 精算表の作成
決算整理後残高試算表への入力
決算整理仕訳によって仮払消費税が減少しますので、仮払消費税の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が600,000、決算整理仕訳での変動額が△600,000のため、決算整理後残高試算表の仮払消費税には0を入力します。
※0のため、借方・貸方どちらでも問題ありません。
また、決算整理仕訳によって、仮受消費税が減少しますので、仮受消費税の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が1,000,000、決算整理仕訳での変動額が△1,000,000のため、決算整理後残高試算表の仮受消費税には0を入力します。
※0のため、借方・貸方どちらでも問題ありません。
さらに、決算整理仕訳によって、未払消費税が発生しますので、未払消費税の発生を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が0、決算整理仕訳での変動額が+400,000のため、決算整理後残高試算表の貸方に400,000を入力します。
貸借対照表・損益計算書への入力
決算整理仕訳によって仮払消費税が減少しますので、仮払消費税の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が600,000、決算整理仕訳での変動額が△600,000のため、貸借対照表の借方にある仮払消費税には0を入力します。
※「入力なし」でも問題ありません。
また、決算整理仕訳によって仮受消費税が減少しますので、仮受消費税の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が1,000,000、決算整理仕訳での変動額が△1,000,000のため、貸借対照表の貸方にある仮受消費税には0を入力します。
※「入力なし」でも問題ありません。
さらに、決算整理仕訳によって未払消費税が発生しますので、未払消費税の発生を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が0、決算整理仕訳での変動額が+400,000のため、貸借対照表の貸方にある未払消費税には、400,000を入力します。
貸借対照表について基礎からしっかり学びたい方は、下記の記事がおすすめです。
関連記事
【初心者向け】貸借対照表の読み方とは?企業の財政状態を知ろう!
boki.funda.jp/blog/article/balance-sheet
boki.funda.jp/blog
また、損益計算書を1から学びたい方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事
【初心者向け】損益計算書の読み方とは?儲けの裏側を知ろう!
boki.funda.jp/blog/article/profit-and-loss-statement
boki.funda.jp/blog
精算表への入力
決算整理仕訳によって仮払消費税が減少しますので、仮払消費税の修正記入欄の借方に600,000を入力します。
仮払消費税の決算整理前残高試算表には借方に600,000、修正記入欄には貸方に600,000が入力されているため、貸借対照表には0を入力します。
※0のため、借方・貸方どちらでも問題ありません。
また、決算整理仕訳によって仮受消費税が減少しますので、仮受消費税の修正記入欄の借方に100,000を入力します。
仮受消費税の決算整理前残高試算表には貸方に1,000,000、修正記入欄には借方に1,000,000が入力されているため、貸借対照表には0を入力します。
※0のため、借方・貸方どちらでも問題ありません。
さらに、決算整理仕訳によって未払消費税が発生しますので、未払消費税の修正記入欄の貸方に400,000を入力します。
未払消費税は決算整理前残高試算表には入力されておらず、修正記入欄には貸方に400,000が入力されているため、貸借対照表の貸方に400,000を入力します。
精算表については、下記の記事で詳しく解説しています。
精算表の知識に自信がない方や苦手意識を持っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事
【図解】簿記3級頻出の精算表の簡単な覚え方を解説!
boki.funda.jp/blog/article/work-sheet
boki.funda.jp/blog
消費税の決算整理仕訳のまとめ
簿記3級の第3問で出題される消費税の決算整理仕訳の解き方を解説してきました。
決算整理仕訳の中でも頻出論点であるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!