簿記3級で出題される消費税の仕訳問題
簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。
この記事では、簿記3級で出題される消費税の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される消費税の仕訳問題
- 消費税の概要
- 消費税の出題傾向
- 簿記3級での消費税の配点
- 消費税の問題集
- 消費税の仕訳問題を解く手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から取引パターンを読み取る
- ③勘定科目を仕訳に記入する
- 消費税の仕訳問題の事例
- 消費税の仕訳問題
- 消費税の仕訳問題の解答解説
- 消費税の仕訳問題の解き方まとめ
なお、今の実力を試したい方向けに、消費税の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。
おすすめトレーニング
消費税の概要
消費税とは、商品の販売やサービスの提供に対して課税される税のことを言います。
消費税を支払ったときは仮払消費税(資産)、受け取ったときは仮受消費税(負債)を計上します。
消費税は、最終的に税務署に納付する必要がありますので、日々の取引で会社が受け取った消費税から、支払った分の消費税を差し引き、残りを税務署へ納付します。
消費税の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
関連記事
消費税とは?簿記の勘定科目を仕訳事例を用いてわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/consumption-tax
boki.funda.jp/blog
消費税の出題傾向
日商簿記3級での消費税の仕訳問題は、大きく4パターンに分かれます。
- 消費税の仮払い
- 消費税の仮受け
- 消費税の確定
- 消費税の納付
それぞれ一つずつ解説していきます。
①消費税を仮払いしたときの仕訳
商品を仕入れ、消費税と共に代金を支払ったときの仕訳パターンです。
このとき、仮払消費税が増加しますので、借方(左側)に仮払消費税を記入します。
②消費税を仮受けたときの仕訳
商品を販売し、消費税と共に代金を受け取ったときの仕訳パターンです。
このとき、仮受消費税が増加しますので、貸方(右側)に仮受消費税を記入します。
③消費税が確定したときの仕訳
決算時に消費税の処理を行うときの仕訳パターンです。
このとき、仮受消費税と仮払消費税の差額が納付すべき未払消費税となります。
仮払消費税が減少しますので、貸方(右側)に仮払消費税を記入します。
仮受消費税が減少しますので、借方(左側)に仮受消費税を記入します。
未払消費税が増加しますので、貸方(右側)に未払消費税を記入します。
④消費税を納付したときの仕訳
前期の消費税確定額を納付したときの仕訳パターンです。
このとき、未払消費税が減少しますので、借方(左側)に未払消費税を記入します。
簿記3級での消費税の配点
消費税の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、消費税の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。
第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事
簿記3級の第1問「仕訳問題」の対策方法とは?解説付き練習問題も!
boki.funda.jp/blog/article/boki3-question1
boki.funda.jp/blog
消費税の問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、消費税の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。
- 級:簿記3級
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:消費税
- 問題の出題数:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
消費税の仕訳問題を解く手順
消費税の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から取引パターンを読み取る
- 勘定科目を仕訳に記入する
ここからは、消費税の仕訳問題を解く手順を一つずつ解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引(「商品を販売し、代金を現金で受け取る」などの取引)と異なる点のことを指します。
下の事例では「前期の消費税確定額」と書いてあるため、消費税の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターンを読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。(例:「商品の販売時」と「代金の回収時」など)
下の事例では「消費税額定額を支払った」と書いてあるため、消費税の納付のパターンであることが読み取れます。
論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。
消費税の仕訳問題の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。
消費税の仕訳問題
決算につき消費税の処理を行う。なお、消費税は税抜方式で記帳しており、当期の仮払消費税は350,000円、仮受消費税は500,000円であった。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
この問題の正解は選択肢①でした。
消費税の仕訳問題の解答解説
「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。
①問題文から論点=消費税を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「消費税の処理を行う」と書いてあるため、消費税の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターン=消費税の確定を読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
今回の問題では「決算につき消費税の処理を行う」と書いてあるため、消費税の確定のパターンであることが読み取れます。
【今回の取引パターン】
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には3つの勘定科目が登場します。
仮払消費税の減少
消費税の未払い額を確定させるために仮払消費税を減少させます。
仮払消費税は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、仮払消費税の減少を表現するために、貸方(右側)に記入します。
仮受消費税の減少
消費税の未払い額を確定させるために、仮受消費税を減少させます。
仮受消費税は負債グループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、仮受消費税の減少を表現するために、借方(左側)に記入します。
未払消費税の増加
仮払消費税と仮受消費税の相殺で生まれた差額を将来納付する必要があるため、未払消費税を増加させます。
未払消費税は負債グループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、未払消費税の増加を表現するために貸方(右側)に記入します。
以上より正しい仕訳は選択肢①となります。
消費税の仕訳問題の解き方まとめ
簿記3級の消費税の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう!
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!