簿記3級を取得すると、社会人として生涯役立つビジネスの知識、経理や会計の技能を学べるのみならず、就職・転職活動でも有利に働くなどのメリットがあります。
この記事で登場する「簿記検定」は、日商簿記検定を指していると考えてください。
日商簿記3級は、簿記初心者の方がまず最初に学習をスタートすることの多い資格です。
こちらの記事では、簿記3級の勉強法やメリット、合格までの戦略をわかりやすく解説しています。ぜひ最後までご一読ください。
目次
- 簿記3級とは?
- 簿記3級の試験内容
- 簿記3級の合格率
- 簿記3級のメリットは?どこで役立つ?
- 就職や転職に役立つ
- 他の資格取得時に活きる
- 数字でビジネスの動きが読める
- 簿記3級合格までの勉強時間は?
- 簿記3級の勉強方法とは?
- 学習スケジュールの例
- 簿記3級合格のための戦略
- 70点以上を目指す
- 配点を意識
- 解き方を確立する
- 簿記3級のネット試験と従来の試験の違い
- 試験時間
- 解答の進め方
- 開催日数
- 申し込み方法
- 簿記3級のネット試験の対策方法
- 簿記3級のまとめ
簿記3級とは?
簿記3級とは、どのような検定なのでしょうか。
簿記検定は、実務で求められるビジネスの基礎、会計や経理の基本についてを問う内容の資格です。日商簿記検定は大きく5つに分かれており、難易度が高い順に1級・2級・3級・簿記初級・原価計算初級があります。試験は年3回ある紙試験に加えて、随時施行のネット試験も受験が可能です。
簿記3級は入門レベルでチャレンジしやすく、正しい対策をすることで確実に合格できる資格と言われています。
また、受験料も2,850円(税込)と敷居も低くなっています。
簿記3級の試験内容
簿記3級で問われるのは「商業簿記」に関する内容です。日々の取引における仕訳や貸借対照表、損益計算書を作成する知識・スキルなどが問われます。
3級では簿記の全体像を理解することが重要となります。
簿記3級の試験形式は大問が3つに分かれており、大問1の仕訳問題、大問2の勘定記入・語句記入・補助簿選択の問題、大問3の決算書作成問題が出題されます。
合格点は70点であり、それぞれの試験配点は、「大問1(45点)」「大問2(20点)」「大問3(35点)」の100点満点となっています。
簿記3級の資格勉強を通じて、ビジネスの基礎や、取引を数字で考える力、決算書の基本的な読み方を学ぶことができます。
そのため、簿記3級の資格を取ることで「経理や会計について一定以上の知識がある人物」と社会や企業から評価されるため、多くの社会人にも人気が高い試験です。
簿記3級の合格率
直近の第163回(2023年2月26日)の合格率は36.5%です。
ここ10年の最高合格率は第157回の67.2%、最低合格率は第159回の27.1%となっており、平均合格率は42.62%です。
簿記3級の合格率はだいたい40〜50%を推移しており、試験の回ごとに変動します。2人に1人が受かる計算であるため、しっかりと試験対策を行えば十分合格が狙える試験と言えます。
出典:簿記 受験者データ|商工会議所の検定試験
簿記3級のメリットは?どこで役立つ?
ここでは、簿記3級の資格を取るメリットや具体的にどういった場合で役立つのかを解説します。
簿記3級を取得するメリットは主に以下の3つがあります。
- 就職や転職に役立つ
- 他の資格取得時に活きる
- 数字でビジネスの動きが読める
順を追って見ていきます。
就職や転職に役立つ
簿記3級は履歴書に記載できる資格のため、就職や転職の際に役に立ちます。簿記3級の資格を持っているということは、基本的な会計知識や財務諸表を読める力を客観的に証明できるため、自己アピールがしやすくなります。
他の資格取得時に活きる
簿記3級で学習した内容は他の資格を取得する際にも活きます。たとえば、上位の資格である簿記2級は3級の内容を踏まえた試験内容であるため、3級の知識が役に立ちます。
また、FPや税理士、公認会計士などの資格取得の際にも、簿記3級の知識が基礎となるため決して無駄になることはありません。
数字でビジネスの動きが読める
簿記3級では、財務諸表に関する知識が問われます。
そのため、学習を進めるうちに数字でビジネスが読めるようになることも、メリットの一つです。
簿記の学習アプリFunda簿記では、資格合格はもちろん、決算書の読み方や、ビジネス事例などもセットで学ぶことが可能です。
簿記3級合格までの勉強時間は?
あくまでも目安ではありますが、簿記3級合格までに必要な勉強時間は70〜100時間程度とされています。
これは毎日2.5〜3.5時間勉強を続けた際に、約1ヵ月かかる数字です。
簿記3級の勉強方法とは?
それでは、ここからは簿記3級の合格に向けた勉強方法をご紹介します。
特に初心者の方にとっては勉強の進め方がイメージしづらいと思いますので、ここでは1ヶ月で合格を目指すプランの一例を見てみましょう。
学習スケジュールの例
毎日2.5〜3.5時間の勉強を続けると言っても、急用や体調不良などで計画通りに進まない日も出てくると思います。
まずは、確実に1ヵ月で70〜100時間の勉強時間を作る計画を立てましょう。
以下に学習スケジュールの一例を示します。
最初の1~2週間は、全体像の理解と基礎を固めるために参考書1冊を読み込みます。
次に、5日〜1週間は、出題傾向を把握しながら、慣れるまで問題を解き続けます。過去問でも試験対策問題でもどちらも可です。
最後の1週間〜10日では、過去3回分の問題を解きます。
ここでは、解けなかった問題を重点的に問題を繰り返し解きます。
試験を想定して、とりかかる問題の順序など自分流の解き方を確立し、時間を計って試験当日のシミュレーションも可能な限り行うのがおすすめです。
簿記3級は独学でも合格できる資格と言われていますが、勉強の進め方には工夫が必要です。
簿記3級合格のための戦略
簿記3級の試験で効率的に合格するためには、正しい戦略が必要です。
ここでは、意識して欲しい戦略のポイントとして、以下の3つをお伝えします。
- 70点以上を目指す
- 配点を意識
- 解き方を確立する
それでは、1つずつ見ていきましょう。
70点以上を目指す
1つ目の戦略は、合格ラインである70点以上を目指すということです。2021年度から、出題問題数・試験時間が下表のように変わりました。
【簿記3級の試験内容】
商業簿記 3問
試験時間 60分
合格基準 70%以上
把握していただきたいのは、簿記3級の試験で満点を取る必要はないということです。100点満点中70点以上で合格できるので、そのラインを超えられるようにしましょう。
配点を意識
2つ目の戦略は、試験配点を意識して重点的に学習することです。
簿記3級の試験配点は、「仕訳(45点)」「勘定記入・補助簿・適語補充(20点)」「決算(35点)」となっています。
特に仕訳は100点中45点と、それだけで試験全体の半数近い点数を占めています。仕訳は第1問で15題出題されますので、重点的に学習して対策を図りましょう。
解き方を確立する
3つ目の戦略は、自分流の解き方を確立することです。
1つ前の章で学習スケジュールにも示しましたが、最初はとにかく参考書を読み込んで、その後は問題をたくさん解くことが重要です。
また、出題傾向はある程度予測できます。問題を解いていく中で自分の得意不得意もわかってくると思いますので、とりかかる問題の順序を決めておきましょう。
簿記3級は試験時間が60分とタイトですので、自分流の解き方を確立することが大切です。
簿記3級のネット試験と従来の試験の違い
2020年12月から、ネット試験でも受験できるようになりました。
下記の記事では、ネット試験合格戦略と試験当日の流れを解説していますのでセットでご覧ください。
今まで通り紙の試験も実施されているため、ネット試験と従来の試験の違いや対策方法が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、ネット試験と従来の試験の違いについて確認してみましょう。
ネット試験と従来の試験には、以下のような違いがあります。
試験時間
ネット試験では、従来の試験と試験時間が違います。
従来(2021年2月までの紙の試験)は、試験時間が120分でした。それが2021年6月からは、紙の試験もネット試験も試験時間は60分です。
試験時間の変更に伴って問題数や配点も変わり、従来よりも問題を解くスピードが求められるようになりました。
なお、出題範囲や問題の難易度、合格基準などは従来の試験と変わりません。
解答の進め方
パソコンで解答するネット試験では、解答の進め方においても従来の試験と違いがあります。
従来の試験では、問題用紙・答案用紙・計算用紙が手元にありました。
それに対してネット試験は、手元にあるのは計算用紙のみです。問題や答案はパソコン画面に表示されます。
問題用紙へメモを書き込むやり方に慣れている人は、違いに戸惑うかもしれません。
開催日数
ネット試験と従来の試験(紙の試験)では、開催日数にも違いがあります。
紙の試験は11月、6月、2月と年3回の実施です。
それに対してネット試験は随時施行であるため、開催日数は限定されていません。
ただし、施行休止期間が年に3度設けられており、期間中は受験できないのでご注意ください。
施行休止期間は、以下のサイトから確認できます。
日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験の施行休止期間の設定について|商工会議所の検定試験
申し込み方法
従来の試験は各商工会議所が窓口になっているのに対して、ネット試験は公式ホームページ内にある申し込みサイトから申し込みます。
ネット試験での申し込みは、以下のサイトから確認できます。
受験の申し込みの流れ(ネット試験)|商工会議所の検定試験
簿記3級のネット試験の対策方法
従来の試験に必要な対策方法は、参考書1冊を理解するまで読み込み、試験対策問題や過去問題を何度も解くことです。
解けなかった問題も、必ず原因を把握するようにしましょう。
ネット試験でも、参考書を読み込んだあとに問題を何度も解く流れは同じです。
ただし、従来の試験より解答のスピードが求められます。
そのため、従来の試験以上に練習問題や過去問題、予想問題を解きまくることが重要です。
沢山アウトプットすることで、知識の定着や試験慣れすることにもつながります。
ネット試験の演習問題を沢山解きたいという方は簿記が学べる学習アプリ「Funda簿記」がお勧めです。
簿記3級のまとめ
簿記3級は経理の基本が身に付くだけでなく、キャリアアップにも役立つ人気の資格です。
講座受講や独学など様々な勉強方法がありますが、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
簿記3級は独学でも合格できる検定と言われています。勉強の進め方を工夫して、試験日当日まで計画的に過ごすことを心がけてください。
また、2020年12月からはネット試験も受講できるようになりました。ネット試験では特に沢山アウトプットすることが重要です。
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