簿記3級で出題される売上原価の決算整理仕訳
簿記3級では、決算整理前残高試算表に決算整理事項を加味して、決算整理後の数値を表に入力する決算書作成問題が出題されます。
この決算書作成問題に解答するためには、決算整理事項の内容をもとに決算整理仕訳を作成する必要があります。
決算整理仕訳とは、決算書を作成するために数値の整理を行ったり、期中の取引の漏れなどを反映させる最終的な修正仕訳のことをいいます。
決算整理仕訳については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ本記事とあわせてご覧ください。
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この記事では、簿記3級で出題される売上原価の決算整理仕訳の解き方について解説します。
決算整理仕訳のパターンや解く手順を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には、本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される売上原価の決算整理仕訳
- 売上原価の概要
- 売上原価の決算整理仕訳
- 簿記3級での売上原価の決算整理仕訳の配点
- 売上原価の仕訳問題集
- 売上原価の決算整理仕訳の作成手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
- ③決算整理によって変動する金額を計算する
- ④決算整理仕訳を行う
- 売上原価の決算整理仕訳の事例
- 売上原価の決算整理仕訳の問題
- 売上原価の決算整理仕訳の解答解説
- 売上原価の決算書への入力方法
- 決算整理後残高試算表への入力
- 貸借対照表・損益計算書への入力
- 精算表への入力
- 売上原価の決算整理仕訳のまとめ
売上原価の概要
簿記3級の売上原価の計算では、前期からの在庫を仕入に振り替えた後に、当期の費用分と翌期の資産分に振り分けます。
売上原価の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
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売上原価の決算整理仕訳
日商簿記3級の第3問で出題される、売上原価の決算整理仕訳は1パターンです。
- 売上原価の計算・期末在庫あり
それでは、解説していきます。
①売上原価の計算・期末在庫あり
期首在庫と期末在庫をもとに、売上原価を計算します。
期首在庫である決算整理前残高試算表の繰越商品100,000円を仕入に振り替え、期末商品棚卸高の120,000円分の仕入を繰越商品に振り替えます。
簿記3級での売上原価の決算整理仕訳の配点
売上原価の決算整理仕訳は、簿記3級試験の第3問で問われます。
第3問は35点満点で、10個の決算整理仕訳が出題される問題構成です。
したがって、売上原価の決算整理仕訳ができるようになることで、約3点をものにすることができます。
第3問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際のポイントなどについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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売上原価の仕訳問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、売上原価の決算整理仕訳が登場する決算書作成問題を解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。
- 級:簿記3級
- 大問:第3問
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから無料で問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
売上原価の決算整理仕訳の作成手順
売上原価の決算整理仕訳の作成手順は次の4ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
- 決算整理によって変動する金額を計算する
- 決算整理仕訳を行う
順に解説していきます。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている決算整理の論点を読み取ります。
下の事例では「期末商品棚卸高」と書いてあるため、売上原価の計算の論点であることが読み取れます。
②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
次に、問題文から問われている決算整理仕訳のパターンを読み取ります。
売上原価の計算の決算整理は1パターンなので、売上原価の計算・期末在庫ありのパターンであることが読み取れます。
③決算整理によって変動する金額を計算する
次に、決算整理によって変動する金額を計算します。
下の事例では決算整理前残高試算表と「期末商品棚卸高は120,000円」より100,000、120,000を用います。
金額の読み取りミスや計算ミスをしないよう注意しましょう。
④決算整理仕訳を行う
最後に、決算整理仕訳のパターンと計算した金額をもとに、決算整理仕訳を行います。
売上原価の決算整理仕訳の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの決算整理仕訳に挑戦してみましょう。
「作成手順」を参考に、決算整理仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。
売上原価の決算整理仕訳の問題
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
売上原価の決算整理仕訳の解答解説
この問題の正解は選択肢③でした。
「作成手順」に沿って、この問題の解き方を解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている論点を読み取ります。
今回の問題では「期末在庫棚卸高」と書いてあるため、売上原価の計算の論点であることが読み取れます。
②問題文から決算整理仕訳のパターンを読み取る
次に、問われている決算整理仕訳のパターンを読み取ります。
売上原価の計算は1パターンのみなので、売上原価の計算・期末在庫ありのパターンであることが読み取れます。
【今回の決算整理仕訳のパターン】
③決算整理によって変動する金額を計算する
次に、決算整理によって変動する金額を計算します。
今回の問題では、決算整理前残高試算表と「期末商品棚卸高は350,000円」より400,000、350,000を用います。
④決算整理仕訳を行う
最後に、決算整理仕訳を行います。
繰越商品の減少
前期からの在庫を仕入に振り替えるため、決算整理前残高試算表の繰越商品を減少させます。
繰越商品は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、繰越商品の減少を表現するために、繰越商品をホームポジションと反対の貸方(右側)に記入します。
仕入の発生
減少させた繰越商品を仕入に振り替えるため、仕入を発生させます。
仕入は費用のグループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、仕入の発生を表現するために、仕入をホームポジションの借方(左側)に記入します。
仕入の消滅
仕入の総額から期末の在庫を控除することで、売上原価を計算するため、期末在庫分の仕入を消滅させます。
仕入は費用のグループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、仕入の消滅を表現するために、仕入をホームポジションと反対の貸方(右側)
に記入します。
繰越商品の増加
仕入から控除した期末の在庫を翌期に引き継ぐため、繰越商品を増加させます。
繰越商品は資産のグループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、繰越商品の増加を表現するために、繰越商品をホームポジションの借方(左側)に記入します。
以上より、正しい決算整理仕訳は選択肢③となります。
売上原価の決算書への入力方法
簿記3級の第3問では決算整理仕訳を反映させた決算整理後の数値を決算書に入力して解答します。
そこで、最後に問題形式ごとの決算書への入力方法を解説します。
なお、第3問で出題される問題形式は以下のとおりです。
- 決算整理後残高試算表の作成
- 貸借対照表・損益計算書の作成
- 精算表の作成
決算整理後残高試算表への入力
決算整理によって繰越商品が減少しますので、繰越商品の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が+400,000、決算整理仕訳での変動額が△400,000と+350,000のため、決算整理後残高試算表の繰越商品には350,000を入力します。
また、決算整理仕訳によって、仕入が発生しますので、仕入の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が2,100,000、決算整理仕訳での変動額が+400,000と△350,000のため、決算整理後残高試算表の仕入の借方に2,150,000を入力します。
貸借対照表・損益計算書への入力
決算整理仕訳によって繰越商品が増加しますので、繰越商品の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の数値が400,000、決算整理仕訳での変動額が△400,000と+350,000のため、貸借対照表の借方にある繰越商品には350,000を入力します。
また、決算整理仕訳によって売上原価が発生しますので、売上原価の変動を反映させます。
決算整理前残高試算表の仕入の数値が2,100,000、決算整理仕訳での変動額が+400,000と△350,000のため、損益計算書の借方にある売上原価には2,150,000を入力します。
貸借対照表について基礎からしっかり学びたい方は、下記の記事がおすすめです。
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また、損益計算書を1から学びたい方は、下記の記事をご覧ください。
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精算表への入力
決算整理仕訳によって繰越商品が増加しますので、繰越商品の修正記入欄の借方に350,000を、貸方に400,000を入力します。
繰越商品の決算整理前残高試算表には借方に400,000、修正記入欄には借方に350,000、貸方に400,000が入力されているため、貸借対照表の借方には350,000を入力します。
また、決算整理仕訳によって仕入が増加しますので、仕入の修正記入欄の借方に400,000を、貸方に350,000を入力します。
仕入の決算整理前残高試算表には借方に2,100,000、修正記入欄には借方に400,000、貸方に350,000が入力されているため、損益計算書の貸方には2,150,000を入力します。
精算表については、下記の記事で詳しく解説しています。
精算表の知識に自信がない方や苦手意識を持っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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売上原価の決算整理仕訳のまとめ
簿記3級の第3問で出題される売上原価の決算整理仕訳の解き方を解説してきました。
決算整理仕訳の中でも頻出論点であるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!