簿記2級では大問2で連結会計の問題が出題されます。
取引が提示され、修正仕訳を行い連結精算表を作成する問題です。
新卒くん
大手町さん、連結会計の問題を解こうとしましたが、さっぱり分かりません…。
大手町さん
連結会計の問題を最初からできる人はいません。
ストーリー仕立てでゆっくり解説するので、一緒に頑張りましょう!
連結会計は苦手な方が多い論点です。しかし、連結会計の問題は出題パターンが決まっています。
したがって、一度全体の流れを覚えてしまえば満点も狙える論点です。
この記事では、簿記2級の学習者向けに連結会計の解き方を事例を用いて解説します。実際の試験問題を解くプロセスも紹介していますので、連結会計が苦手な方でもこの記事を通じて理解することができます。
目次
- 連結会計とは?
- Step1.単純合算
- Step2.投資と資本の相殺消去
- Step3.連結財務諸表の作成
- 連結精算表の解き方は?
- 修正すべき数値
- 連結精算表を解く手順
- 連結精算表の問題に挑戦してみよう
- 投資と資本の相殺消去を行う
- 非支配株主とのれんの仕訳を行う
- 連結修正仕訳を入力する
- 連結精算表の解き方:まとめ
- Funda簿記で連結会計を学ぼう
- 公式LINEより基礎情報を発信中
なお、簿記を基礎からしっかり学びたい方は、まずは先に下記のトレーニングから始めてみてください。
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連結会計とは?
連結会計とは、親会社とその子会社(または関連会社)を一つの経済的な単位としてみなし、企業集団全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローの状況を報告するための会計手法です。
連結財務諸表の作成手順は以下の3つのステップで行われます。
- 単純合算
- 投資と資本の相殺消去
- 連結財務諸表の作成
なお、連結会計を基本から学びたい方は、下記の記事がおすすめです。
ディズニーランドを運営するオリエンタルランドを事例に連結会計の基本を解説しています。
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Step1.単純合算
単純合算とは、親会社と子会社の個別財務諸表を足すことを意味します。
Step2.投資と資本の相殺消去
STEP2の投資と資本の相殺消去には資本連結と成果連結の2種類があります。
- 資本連結
- 成果連結
資本連結
資本連結(しほんれんけつ)とは、親会社と子会社の資本(純資産)を単純に合算したとき、連結後の純資産をあるべき姿に修正するための連結修正仕訳のことをいいます。
具体的には、「親会社が投資した子会社株式」と「子会社の純資産」の重複を消去する仕訳を行います。
なお、資本連結についてを詳しく学びたい方は下記の記事がお勧めです。
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成果連結
成果連結(せいかれんけつ)とは、親会社と子会社の「内部取引高」や「債権・債務」などを相殺消去する仕訳のことをいいます。
具体的には、グループ内での商品売買取引や資金の賃貸借取引などを修正・消去する仕訳を行います。
なお、成果連結についてを詳しく学びたい方は下記の記事がお勧めです。
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Step3.連結財務諸表の作成
単純合算を行い、投資と資本の相殺消去を経て、最後は連結財務諸表を作成します。
この記事では、この連結財務諸表の作成についてを、事例を用いて詳しく解説します。
連結精算表の解き方は?
今回は、パン屋がケーキ屋を買収する事例を用いて解説していきます。
新卒君が経営するパン屋が大人気。軌道に乗っており、さらに拡大するためにヤンキーさんのケーキ屋を買収してグループ経営をすることにしました。
X1年3月31日にケーキ屋を買収しており、今回は買収した翌年度であるX1年4月1日〜X2年3月31日の連結1年度の精算表を作成します。
修正すべき数値
買収してグループ会社となった際は、以下の3つの数値を修正する必要があります。
- 親子間の取引
- 未現実利益
- 非支配株主に帰属する分
これらは簿記2級の連結の問題で問われる修正すべき数値です。
連結精算表を解く手順
パン屋とケーキ屋が作成した個別財務諸表を単純に合算し、修正すべき数値を連結修正仕訳を使って修正することで連結財務諸表を作成します。
連結精算表を解く手順は全部で5STEPです。
- 連結修正仕訳を書き出す
- 解答欄の「修正・消去」欄に入力する
- 損益計算書から完成させる
- 「親会社株主に帰属する当期純利益」の行を「利益剰余金」に転記
- 貸借対照表を完成させる
順にみていきましょう。
STEP1:連結修正仕訳を書き出す
問題文を読み解き、連結修正仕訳を計算用紙に書き出します。
具体的な仕訳手順については、後ほど詳しく解説します。
STEP2:「修正・消去」欄に入力する
書き出した連結修正仕訳を解答欄の「修正・消去」欄に入力します。
この時、借方と貸方を間違えないようにしましょう。
STEP3:損益計算書から完成させる
「修正・消去」欄に入力したら、はじめに損益計算書から完成させます。
P社とS社の残高合計に修正額を加算or減算して、確定値を一番右の「連結財務諸表」欄に入力します。
STEP4:「親会社株主に帰属する当期純利益」を「利益剰余金」に転記
損益計算書に記入した「親会社株主に帰属する当期純利益」の行を、そのまま貸借対照表の利益剰余金に転記します。
STEP5:貸借対照表を完成させる
最後に、貸借対照表を完成させます。P社とS社の残高合計に修正額を加算or減算して、確定値を一番右の「連結財務諸表」欄に入力します。
新卒くん
なぜ、親会社株主に帰属する当期純利益を利益剰余金に入れるのですか?
大手町さん
この作業を行うことで、連結修正によって変動した利益額(1年度で得た利益)を、会社の経営状態を示す貸借対照表にも反映するためです。
では、実際の試験問題に挑戦してみましょう!
連結精算表の問題に挑戦してみよう
それでは、実際の試験問題の解き方を解説していきます。
まずは、問題文の[資料]1を読み解いて投資と資本の相殺消去をします。なお、「1年度である」の記載から連結1年度目の問題であることがわかります。
【補足】投資と資本の相殺消去とは
投資と資本の相殺消去とは、親会社と子会社の個別貸借対照表を合算したときに発生する「親会社が投資した子会社株式」と「子会社の純資産」の重複を消去する仕訳です。
支配獲得した年(連結0年度)は「パン屋がケーキ屋に投資した分」と「ケーキ屋の純資産」を相殺した上で非支配株主持分を洗い出し、のれんの金額を計算します。
投資と資本の相殺消去を行う
パン屋の個別B/S資産の「S社株式332,000千円(借方残高)」について、親子間の取引でケーキ屋の個別B/S純資産の一部と重複するため消去します。
P社のS社株式を修正消去する
パン屋の個別B/Sの「S社株式332,000千円(借方残高)」を消すために、貸方にS社株式332,000千円を仕訳します。
試験本番では、計算用紙に書き出して整理すると、スムーズに解くことができます。
S社の純資産を修正消去する
また、ケーキ屋の個別B/S純資産でも「資本金・資本剰余金・利益剰余金」が貸方残高にあり、先程のS社株式と重複するため消去します。
ケーキ屋の個別B/S純資産を一旦すべて消すために、借方に資本金250,000千円、資本剰余金25,000千円、利益剰余金40,000千円を仕訳します。
非支配株主とのれんの仕訳を行う
これにより、いったん親子間の取引の重複の相殺は完了しました。
次に、非支配株主持分の洗い出しと、のれんの金額を計算します。
新卒くん
非支配株主とは何でしたっけ。
完全に忘れました。
非支配株主とは
非支配株主とは、株式の過半数を保有せず経営の意思決定を支配できない株主です。
支配はできませんが、利益や純資産は株式割合だけ得られる権利があります。
非支配株主持分を修正仕訳する
今回ケーキ屋の20%の株式はパン屋以外が保有しています。従って、先程仕訳した純資産のうち非支配株主の持分20%は純資産として表記します。
非支配株主の純資産はケーキ屋の純資産合計(315,000千円)×非支配株主の持分割合(20%)となるため、63,000千円を純資産の定位置の貸方に非支配株主持分として仕訳します。
新卒くん
あれ?まだ左右の仕訳が合わないですよ?
差額はどうすればいいんですか?
大手町さん
この差額は人材や事業、ブランドなどB/S状に載らない価値の対価を払うために上乗せされた金額である「のれん」を計上します。
のれんを修正仕訳する
差額は「のれん」という価値上乗せ分として修正仕訳をします。
したがって、借方にのれん80,000円を記入します。
のれんについてより詳しく学びたい方は、下記の記事をご覧ください。
関連記事
【簿記2級】のれんとは?償却方法や会計処理をわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/goodwill
boki.funda.jp/blog
連結修正仕訳を入力する
これらの連結修正仕訳は、後ですべて修正・消去欄に入力していきます。
新卒くん
なるほど…。
このように問題文から必要な修正仕訳を考えて欄を埋めていくのですね。
大手町さん
その通りです!
試験本番では、残りの問題文も必要な仕訳をし、連結精算表を完成させます。
連結精算表の解き方:まとめ
今回は簿記2級の大問2で出題される「連結会計」の解き方を解説しました。
連結会計の問題は、問題文から①親子間の取引、②未現実利益、③非支配株主に帰属する分の修正すべき数値を仕訳して、連結精算表を作ることが求められます。
簿記2級では頻出の論点であるため、しっかり理解しておきましょう!
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