簿記とは?
簿記(ぼき)とは、日々の企業の取引を金額に変換し、帳簿に記入・記録することをいいます。簿記は元々「帳簿記入」を略した言葉であり、英語でBookkeepingと言います。Bookは帳簿、Keepingは記録をつけることを意味します。
つまり、お金の流れを帳簿に記録することが簿記の本質となります。
帳簿(ちょうぼ)とは、事業の取引やお金の流れを記録するものです。たとえば、簿記の基礎となる主要簿や、その主要簿の記録を補う補助簿などがあります。
簿記は、ビジネスにおいて重要な役割を果たす会計の基礎技術です。事業活動を行うすべての企業で用いられるため、ビジネスマンにとって必須のスキルとなります。
この記事では、簿記に興味がある方やこれから簿記を学習する方に向けて、簿記とはなにか、簿記を学ぶとはなにか、簿記がわかるとどんなメリットがあるのかについてわかりやすく解説します。
簿記の基本的な概念を身に付け、ぜひ簿記の学習に役立ててください。
目次
- 簿記とは?
- 簿記の目的
- 簿記と会計の違い
- 簿記で学ぶことの全体像
- ①企業の取引を計算する方法
- ②企業の取引を記録する方法
- ③決算書を作成する方法
- 簿記の記録方法とは?
- 日々の取引は「仕訳」で記録する
- 取引の仕訳事例
- 簿記がわかるメリット
- ニュースがわかる
- お金の流れがわかる
- 決算書が読める
- 簿記のまとめ
簿記の目的
簿記の目的は、決算書を作成することです。企業は決算書を作るために、日々の取引を帳簿に記録しているのです。
決算書を一言でいうと、企業の経営成績表のことを指します。
簿記の3級の試験では、損益計算書と貸借対照表を中心に扱います。
損益計算書とは、どの程度の利益が出たか等の会社の成績や、売上を上げるのに費やした費用の状況を表す決算書です。
貸借対照表とは、会社に存在する財産の状態や会社資金の調達と運用の状況を表す決算書です。
簿記と会計の違い
簿記と似た用語に会計というものがあります。
会計とは、簿記によって作成された決算書を企業関係者に報告することを意味します。会計は英語でAccountingといい、Accountには「報告する」という意味があります。
つまり、会計の本質的な意味は「報告すること」です。
簿記と会計の違いは目的が異なる点です。
簿記の目的は決算書を作成することですが、会計の目的はその決算書を通して企業の状態を報告することです。
会計についてより詳しく学びたい方は、こちらの記事をご覧ください。
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会計とは?決算書が作成される流れをわかりやすく解説
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新卒くん
なるほど!
つまり、会計の領域の中に「簿記」が存在するのですね!
大手町さん
その通りです!
この点は違いが分からない方も多いので覚えておきましょう。
簿記で学ぶことの全体像
簿記とは、決算書を作成するために、企業の取引を帳簿へ記録することです。
したがって、簿記を学ぶとは
- 企業の取引を計算する方法
- 企業の取引を記録する方法
- 決算書を作成する方法
を学ぶことになります。
①企業の取引を計算する方法
簿記の学習では、正しい決算書を作成するための計算方法を学びます。
例えば、企業が支払う法人税等の計算や建物などの減価償却費の計算があります。
②企業の取引を記録する方法
正確な決算書を作成するためには、簿記のルールに基づいた記録方法で日々の取引を記録します。そのため、簿記の学習では企業の取引を記録する方法を学びます。
③決算書を作成する方法
また、簿記の最終的な目的は決算書を作成することです。
したがって、企業の状態を表す決算書を作成する方法も学習します。
簿記の記録方法とは?
それでは、簿記を使って企業の取引をどのように記録するのかを解説します。
簿記は、企業関係者に企業の状態を報告するために取引を記録する技術であることから、ビジネス言語とも呼ばれています。英語圏の人とコミュニケーションを取るための手段が英語であるのと同様に、簿記はビジネスの世界でコミュニケーションを取るための手段の1つなのです。
今回は「当社は50万円を現金で支払い、備品を買いました。」という取引の事例を使い、企業の取引を記録する方法を英語と比較して説明していきます。
「備品の購入」という取引を英語圏の人に伝えようとした場合、下記のように日本語を英語に変換して伝える必要があります。
一方で、同じ取引を簿記によって変換すると、「備品が50万円増加した」かつ「現金が50万円減少した」という表現になります。
新卒くん
英語は単語を1つずつ変換する必要がありましたが簿記はとてもシンプルですね!
大手町さん
そのとおりです!
日々の取引を「○○が~円増加した」や「△△が~円減少した」などと表現するのが簿記の特徴です。
日々の取引は「仕訳」で記録する
日々の取引は仕訳という方法で記録します。
仕訳(しわけ)とは、ビジネスの結果を決算書で報告するために、日々の取引を記録する方法をいいます。仕訳で記録するものは、勘定科目と金額のみです。
勘定科目とは、取引の内容をわかりやすく記録するための名称のことをいいます。簡単に言うと、英単語のようなものです。
取引の仕訳事例
簿記の世界では、仕訳を用いて日々の取引を下記のように表現します。
借方:備品 500,000 貸方:現金 500,000
この形式で「備品が50万円増加した」かつ「現金が50万円減少した」と表現します。
簿記の考えを理解すると、仕訳を見ただけでどのような取引が行われたかを読み解くことができます。
ビジネスの世界では仕訳を使ってコミュニケーションを取るため、ビジネスマンにとっては必須のスキルとなります。
仕訳のやり方や基本ルールに関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
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簿記がわかるメリット
最後に、簿記がわかるメリットを紹介します。
簿記を学ぶと主に3つのメリットがあります。
- ニュースがわかる
- お金の流れがわかる
- 決算書が読める
順に解説していきます。
ニュースがわかる
簿記を学ぶメリットとして、ニュースの内容がわかるようになります。
ニュースを見ていると、次のような用語を耳にしたことはありませんか?
- 「〇〇グループが決算を発表し、△△万円の赤字を計上したことを発表しました。」
- 「〇〇社が粉飾決算をしたとして、元社長らが金融商品取引法の疑いで逮捕されました。」
上記の内容は普段聞き流したり、分かった気になったりしがちなニュースです。しかし、簿記の学習をしていると見え方が変わります。
お金の流れがわかる
簿記は日々の企業の取引を金額に変換し、帳簿に記入・記録することです。そのため、簿記の勉強をしていると、お金の流れがわかるようになります。
どのように支出を分類するか、キャッシュフローはどう管理するかといった知識が簿記の学習で身に付くため、基本的な経理業務が行えたり、家計管理なども抵抗なくできるようになります。
決算書が読める
簿記の目的は決算書を作成することであるため、簿記を学ぶことで決算書が読めるようになります。決算書が読めると以下のようなメリットがあります。
- ビジネスマンとして基本的な知識があると評価される
- 就職先・転職先の経営状態がわかる
- 取引先の財政状態を把握できる
- 投資先の企業が投資対象として適切か判断できる
- 融資先の企業が健全かどうか判断できる
- 確定申告を行えるようになる
このように、決算書が読めるとビジネスの現場だけでなく、就職や転職、投資、確定申告など様々なシーンで役立ちます。
簿記のまとめ
今回は、簿記とはなにか、簿記で学ぶことの全体像、簿記を学ぶメリットについて紹介しました。
簿記は、日々の企業の取引を金額に変換し、帳簿に記入・記録することをいい、最終的な目的は決算書を作成することです。簿記を学ぶと様々なシーンで役に立つため、興味がある方はまずは3級からチャレンジしてみてください。
これから簿記学習にチャレンジされる方の参考になれば幸いです。
簿記3級の概要について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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