簿記2級を取得すると財務諸表から経営内容を把握できるようになるだけでなく、会社から即戦力として評価されることもあり、就職時や転職時に役立ちます。
一般に「簿記検定」と言う時は、日商簿記を指していると考えて大丈夫です。
日商簿記は独学でも合格を目指せますが、そのためには適切な対策を図ることが求められます。
こちらのページでは、簿記2級の勉強法からメリットまでを徹底解説しています。ぜひ最後までご一読ください。
目次
- 簿記2級とは?
- 簿記2級を取るメリットは?どこで役立つ?
- 簿記2級の内容
- 商業簿記とは?
- 工業簿記とは?
- 簿記2級合格までの目安勉強時間
- 簿記3級を持っている方
- 簿記3級を持ってない方
- 簿記2級に合格するためのおすすめの勉強方法
- 簿記2級の勉強法:最初の2ヵ月 - 工業簿記に力をいれて勉強を進める
- 簿記2級の勉強法:次の2ヵ月 - 商業簿記に力をいれて勉強を進める
- 簿記2級の勉強法:次の1ヵ月 - 3周を目安に問題集を解き続ける
- 簿記2級の勉強法:最後の1ヵ月 - 過去5回分の問題を解く
- 簿記2級の試験で合格するための戦略
- 70点以上を目指す
- 簿記2級合格戦略:工業簿記の対策に力を入れる
- 簿記2級合格戦略:自分流の解き方を確立する
- 簿記2級のネット試験と従来の試験の違いは?対策方法は?
- 簿記2級のネット試験と従来の試験の違いは?
- 簿記2級ネット試験と従来の試験の各対策方法
- 簿記2級のネット試験向けの教材は?
- 簿記2級のまとめ
簿記2級とは?
簿記2級とは、どのような検定なのでしょうか。
概要は以下の通りです。
経営管理に役立つ知識が身に付く
年3回ある紙の試験に加えて随時施行のネット試験も受験できる
22,711名が受験した2021年6月の合格率は24.0%
出典:簿記 受験者データ|商工会議所の検定試験
簿記2級では、商業簿記・工業簿記などの会計処理を習得することができます。
簿記2級の知識を習得できると「どのように財務諸表を作っているのか」、「どのように計上されているのか」がわかるため、財務諸表を理解するのに役立ちます。
簿記3級との違いとして、工業簿記という実際の経営管理により近い会計方法も学ぶことができます。
受験料は4,720円(税込)です。
資格を取ることで「経理や会計に関して一定以上の知識を持っている人物」と思われるため、簿記2級の資格取得は多くの会社からも求められています。
そんな簿記2級ですが、2020年12月から紙の試験だけでなくネット試験でも受験できるようになりました。
ネット試験については、後ほど詳しく解説します。
簿記2級を取るメリットは?どこで役立つ?
ここでは、簿記2級を取るメリットや具体的にどういった場合で役立つのかを解説します。
財務諸表の数字を把握できるようになる
多くの業種・業態で役立つ知識が得られる
会社から即戦力として評価されることもあり、就職・転職活動時に役立つ
上記が簿記2級を取るメリットや役立つ内容の一例です。
簿記2級では、財務諸表の作成手順や会計の処理方法がわかるため、財務数値とビジネスの結びつききがわかるようになります。
学習を進めていく中で決算書などの財務数値を読み取れるようになるのも、大きなメリットの一つです。
また簿記2級を勉強することで得られた知識や経験は、他の資格取得時にも役立ちます。
簿記2級は、キャリアアップに有効な資格の一つと言えるでしょう。
簿記2級の内容
簿記2級では、「商業簿記」に加えて「工業簿記」の知識も問われます。
ここで商業簿記と工業簿記で勉強する内容について、ざっくり確認してみましょう。
商業簿記とは?
簿記2級の商業簿記では、社外関係者との取引を記録・計算するための知識や技能が必要です。
自社の企業活動を関係者へ正確に報告するための決算書作成、財務諸表から経営内容を読み解く力など、会計実務を踏まえた適切な処理や分析が求められます。
以下に、商業簿記で勉強すべき内容の一例を紹介します。
仕訳問題
例)有価証券の売却取引、修繕引当金の計上、手形の更改取引など
決算処理
例)製造業を営む会社の決算処理、損益計算書と貸借対照表の作成など
株式会社会計
例)連結財務諸表の作成、準備金積立額の算定など
工業簿記とは?
簿記2級の工業簿記では、主に製造業を営んでいる企業での部門別・製造別(材料、燃料、人力など)の資源の投入や費用、利益などを計算する知識や技能が求められます。
※製造業ではない企業も適応できますが、簿記検定で出るのは主に製造業の企業です。
以下に、工業簿記で勉強すべき内容の一例を紹介します。
原価計算
例)個別原価計算、総合原価計算など
標準原価計算
例)単純総合原価計算、組別総合原価計算、等級別総合原価計算など
CVP分析、損益分岐点分析
例)変動費、限界利益、固定費などを使って計算
簿記2級合格までの目安勉強時間
簿記2級合格までの目安勉強時間を紹介します。
簿記2級は、2021年度から試験内容が改訂されました。改訂後では難易度が上がったと言われており、それに伴って目安とされる勉強時間も増えています。
ここでは簿記3級を持っている方と持っていない方に分けて、それぞれの目安勉強時間を解説します。
簿記3級を持っている方
簿記3級を持っている方の目安勉強時間は、250〜350時間です。
勉強する期間はざっくり4〜6ヵ月程度と考えておくのが良いでしょう。
簿記3級の受験時に商業簿記の内容を勉強してきたかと思いますが、簿記2級では商業簿記に加えて工業簿記の知識も問われます。
そのため、工業簿記の勉強を中心とした学習スケジュールを立てるのがおすすめです。
簿記3級を持ってない方
簿記3級を持っていない方の目安勉強時間は、400〜500時間です。
勉強する期間はざっくり6〜8ヵ月程度と考えておくのが良いでしょう。
簿記3級を持っていない方の中には、簿記2級受験で初めて簿記を勉強するという方も多いと思います。そのような方はまず簿記に慣れることから始めましょう。
「正しい勉強の進め方を知ること」も大変重要ですので、後ほどおすすめの勉強方法を解説します。
簿記2級に合格するためのおすすめの勉強方法
簿記2級の合格に向けた勉強方法をご紹介します。
簿記2級で初めて工業簿記に触れる方も多いと思いますので、工業簿記が苦手科目にならないよう対策することが重要です。
6ヶ月で合格を目指すプランを作成したので参考にしてみてください。
簿記3級を持っている方の目安勉強時間は250〜350時間、簿記3級を持っていない方の目安勉強時間は、400〜500時間です。
簿記2級の勉強法:最初の2ヵ月 - 工業簿記に力をいれて勉強を進める
参考書1冊を理解するまで読み込む+基礎問題を解いてみる
簿記2級勉強 - 意識するポイント
・全体像を理解する
・基礎を固める
・全体像を理解できたら基礎問題を解いてみる
簿記2級の勉強法:次の2ヵ月 - 商業簿記に力をいれて勉強を進める
参考書1冊を理解するまで読み込む+基礎問題を解いてみる
簿記2級勉強 - 意識するポイント
・全体像を理解する
・基礎を固める
・全体像を理解できたら基礎問題を解いてみる
簿記2級の勉強法:次の1ヵ月 - 3周を目安に問題集を解き続ける
簿記2級勉強 - 意識するポイント
・解けなかった問題も原因を把握する
・とりかかる問題の順序など自分流の解き方を確立する
簿記2級の勉強法:最後の1ヵ月 - 過去5回分の問題を解く
簿記2級勉強 - 意識するポイント
・時間を計って試験当日のシミュレーションをする
簿記2級は独学での合格も可能ですが、それには適切な対策が求められます。
試験直前には多くの問題を解きながら、問題に慣れることも重要です。
できるだけ短期間で簿記2級に合格したい方は、下記の記事がおすすめです。
2ヶ月で簿記2級に合格する方法について解説しています。
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最短で簿記2級に合格する勉強法とは?必要な勉強時間も合わせて解説
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簿記2級の試験で合格するための戦略
簿記2級の試験で合格するために、正しい戦略を立てましょう。
ここでは、意識して欲しい戦略のポイントとして、以下の3つをお伝えします。
- 70点以上を目指す
- 工業簿記の対策に力を入れる
- 自分流の解き方を確立する
それでは、一つずつ見ていきましょう。
70点以上を目指す
一つ目の戦略は、合格ラインである70点以上を目指すということです。2021年度から、出題問題数・試験時間が下表のように変わりました。
【簿記2級の試験内容】
商業簿記 60点
工業簿記 40点
試験時間 90分
合格基準 70%以上
把握していただきたいのは、簿記2級の試験で満点を取る必要はないということです。100点満点中70点以上で合格できるので、そのラインを超えられるようにしましょう。
簿記2級合格戦略:工業簿記の対策に力を入れる
二つ目の戦略は、工業簿記の対策に力を入れることです。
なぜ工業簿記に力を入れるのかというと、問題の出題形式のパターンがあまり多くなく、比較的確実に点数を取ることができるからです。
商業簿記は簿記3級でも学習した方がいると思いますが、工業簿記は簿記2級で初めて出題されます。そのため、苦手意識を持たないように適切な対策を取ることが重要です。
工業簿記では、参考書・問題集での学習がより重要になります。
基礎を理解していないと応用問題は解けませんので、参考書・問題集の内容を十分理解してから過去問へ移行するようにしましょう。
簿記2級合格戦略:自分流の解き方を確立する
三つ目の戦略は、自分流の解き方を確立することです。
一つ前の章で学習スケジュールにも示しましたが、最初はとにかく参考書を読み込んで、その後は問題をたくさん解くことが重要です。
問題を解いていく中で自分の得意不得意もわかってくると思いますので、とりかかる問題の順序を決めておきましょう。
試験時間が限られている中、苦手な問題から解いてしまうと後の問題に影響しますので、自分流の解き方を確立することが大切です。
簿記2級のネット試験と従来の試験の違いは?対策方法は?
2020年12月から、ネット試験でも簿記2級が受験できるようになりました。
初めて簿記2級を受験する方の中には「工業簿記に加えてネット試験の対策も必要なの?」と、不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、ネット試験と従来の試験の違いについて確認してみましょう。
簿記2級のネット試験と従来の試験の違いは?
ネット試験と従来の試験には、以下のような違いがあります。
◼️簿記2級試験の試験時間
ネット試験では、従来の試験と試験時間が違います。
従来(2021年2月までの紙の試験)は、試験時間が120分でした。それが2021年6月からは、紙の試験もネット試験も試験時間は90分です。
なお、出題範囲や問題の難易度、合格基準などは従来の試験と変わりません。
◼️簿記2級試験の解答の進め方
パソコンで解答するネット試験では、解答の進め方においても従来の試験と違いがあります。
従来の試験では、問題用紙・答案用紙・計算用紙が手元にありました。
それに対してネット試験は、手元にあるのは計算用紙のみです。問題や答案はパソコン画面に表示されます。
問題用紙へメモを書き込むやり方に慣れている人は、違いに戸惑うかもしれません。
◼️簿記2級試験の開催日数
ネット試験と従来の試験(紙の試験)では、開催日数にも違いがあります。
紙の試験は11月、6月、2月と年3回の実施です。
それに対してネット試験は随時施行であるため、開催日数は限定されていません。
ただし、施行休止期間が年に3度設けられており、期間中は受験できないのでご注意ください。
施行休止期間は、以下のサイトから確認できます。
日商簿記検定試験(2級・3級)ネット試験の施行休止期間の設定について|商工会議所の検定試験
◼️簿記2級試験の申し込み方法
従来の試験は各商工会議所が窓口になっているのに対して、ネット試験は公式ホームページ内にある申し込みサイトから申し込みます。
ネット試験での申し込みは、以下のサイトから確認できます。
受験の申し込みの流れ(ネット試験)|商工会議所の検定試験
簿記2級ネット試験と従来の試験の各対策方法
従来の試験に必要な対策方法は、まず比較的確実に点を取れる工業簿記に力をいれて勉強し、それから商業簿記を勉強する方法でした。ネット試験であっても、この勉強の進め方に変わりはありません。
また、参考書1冊を理解するまで読み込み、試験対策問題や過去問題を何度も解くやり方も同じです。問題を解く際には、解けなかった問題も必ず原因を把握するようにしましょう。
ネット試験で注意しなければならないのは、紙の問題と問題を解く環境が大きく違うことです。
そのため、ネット環境を想定して、練習問題や過去問題、予想問題を解きまくりましょう。
沢山アウトプットすることで、知識の定着や試験慣れすることにもつながります。
ネット試験での対策方法について、もっと詳しく知りたい方は以下をご確認ください!
ネット試験対策についてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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簿記3級と2級のネット試験対策!紙試験との違いや対策方法を解説
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簿記2級のネット試験向けの教材は?
さて、最後に簿記2級のネット試験に特化した、おすすめの学習教材を紹介します。
簿記学習アプリ「Funda簿記」は、ネット試験を想定した模試や練習問題が好きなだけ受けられる唯一の学習アプリとなっています。
システムが自動で問題を生成するため、二度と同じ問題が出題されることはありません。
ぜひ、一緒にアプリを使った簿記の学習をはじめましょう。
簿記2級のまとめ
簿記2級は経理や会計の基本が身に付くだけでなく、取得すると会社から即戦力として評価されることもある資格です。
簿記2級では商業簿記だけでなく工業簿記の内容も新たに加わり、より専門的な知識が求められます。
また独学でも合格を目指せますが、そのためには適切な対策を図ることが重要です。
簿記2級は、2020年12月からネット試験も受講できるようになりました。ネット試験では特に沢山アウトプットすることが重要です。
少しでも会計や決算書に興味を持った方は、下記の公式LINEも覗いてみてください。
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