簿記3級で出題される有形固定資産の売却の仕訳問題
簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。
この記事では、簿記3級で出題される有形固定資産の売却の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される有形固定資産の売却の仕訳問題
- 有形固定資産の売却の概要
- 有形固定資産の売却の出題傾向
- 簿記3級での有形固定資産の売却の配点
- 有形固定資産の売却の問題集
- 有形固定資産の売却の仕訳問題を解く手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から取引パターンを読み取る
- ③勘定科目を仕訳に記入する
- 有形固定資産の売却の仕訳問題の事例
- 有形固定資産の売却の仕訳問題
- 有形固定資産の売却の仕訳問題の解答解説
- 有形固定資産の売却の仕訳問題の解き方まとめ
なお、今の実力を試したい方向けに、有形固定資産の売却の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。
おすすめトレーニング
有形固定資産の売却の概要
営業活動のために長期にわたって使用する目的で保有される有形の資産(土地、建物、備品、機械、車両運搬具など)を有形固定資産といいます。
有形固定資産を売却した場合、売却時点の帳簿価額よりも高い値段で売却すると利益が発生し、逆に低い値段で売却すると損失が発生します。
有形固定資産の売却の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
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有形固定資産の売却の出題傾向
日商簿記3級での有形固定資産の売却の仕訳問題は、大きく6パターンに分かれます。
- 非償却性資産の売却(売却益)
- 非償却性資産の売却(売却損)
- 償却性資産の期首売却(売却益)
- 償却性資産の期首売却(売却損)
- 償却性資産の期中売却(売却益)
- 償却性資産の期中売却(売却損)
それぞれ1つずつ解説していきます。
①非償却性資産の売却(売却益)のときの仕訳
非償却性資産の売却(売却益)ときの仕訳パターンです。
このとき、非償却性資産である土地が減少しますので、貸方(右側)に土地を記入します。
また、土地の帳簿価額より高い値段で売却しているため、貸方(右側)に固定資産売却益を記入します。
②非償却性資産の売却(売却損)のときの仕訳
非償却性資産の売却(売却損)ときの仕訳パターンです。
このとき、非償却性資産である土地が減少しますので、貸方(右側)に土地を記入します。
また、土地の帳簿価額より低い値段で売却しているため、借方(左側)に固定資産売却損を記入します。
③償却資産の期首売却(売却益)のときの仕訳
償却性資産の期首売却(売却益)ときの仕訳パターンです。
このとき、償却性資産である備品が減少しますので、貸方(右側)に備品を記入します。
また、備品に関わる減価償却累計額も減少しますので、借方(左側)に減価償却累計額を記入します。
備品の帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)より高い値段で売却しているため、貸方(右側)に固定資産売却益を記入します。
④償却資産の期首売却(売却損)のときの仕訳
償却性資産の期首売却(売却損)ときの仕訳パターンです。
このとき、償却性資産である備品が減少しますので、貸方(右側)に備品を記入します。
また、備品に関わる減価償却累計額も減少しますので、借方(左側)に減価償却累計額を記入します。
備品の帳簿価額(取得原価−減価償却累計額)より低い値段で売却しているため、借方(左側)に固定資産売却損を記入します。
⑤償却資産の期中売却(売却益)のときの仕訳
償却性資産の期中売却(売却益)ときの仕訳パターンです。
このとき、償却性資産である備品が減少しますので、貸方(右側)に備品を記入します。
備品に関わる減価償却累計額も減少しますので、借方(左側)に減価償却累計額を記入します。
また、当期の減価償却費も計上するため、借方(左側)に減価償却費を記入します。
備品の帳簿価額(取得原価−減価償却累計額−減価償却費)より高い値段で売却しているため、貸方(右側)に固定資産売却益を記入します。
⑥償却資産の期中売却(売却損)のときの仕訳
償却性資産の期中売却(売却損)ときの仕訳パターンです。
このとき、償却性資産である備品が減少しますので、貸方(右側)に備品を記入します。
備品に関わる減価償却累計額も減少しますので、借方(左側)に減価償却累計額を記入します。
また、当期の減価償却費も計上するため、借方(左側)に減価償却費を記入します。
備品の帳簿価額(取得原価−減価償却累計額−減価償却費)より低い値段で売却しているため、借方(左側)に固定資産売却損を記入します。
簿記3級での有形固定資産の売却の配点
有形固定資産の売却の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、有形固定資産の売却の仕訳問題ができるようになることで、3〜6点をものにすることができます
第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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簿記3級の第1問「仕訳問題」の対策方法とは?解説付き練習問題も!
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有形固定資産の売却の問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、有形固定資産の売却の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記の通りです。
- 級:簿記3級
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:有形固定資産の売却
- 問題の出題数:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
有形固定資産の売却の仕訳問題を解く手順
有形固定資産の売却の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から取引パターンを読み取る
- 勘定科目を仕訳に記入する
ここからは、有形固定資産の売却の仕訳問題を解く手順を1つずつ解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引(「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引)と異なる点のことを指します。
下の事例では「備品」「売却」と書いてあるため、有形固定資産の売却の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターンを読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、取引パターンが複数あります。(例:「商品の販売時」と「代金の回収時」など)
下の事例では期首の備品売却かつ帳簿価額>売却額のため、償却性資産の期首売却(売却損)のパターンであることが読み取れます。
論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。
有形固定資産の売却の仕訳問題の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。
有形固定資産の売却の仕訳問題
店舗用として保有していた土地(帳簿価額1,920,000円)を1,967,000円で売却し、代金は当社の普通預金口座に振り込まれた。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
この問題の正解は選択肢②でした。
有形固定資産の売却の仕訳問題の解答解説
「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。
①問題文から論点=有形固定資産の売却を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「土地」「売却」と書いてあるため、有形固定資産の売却の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターン=非償却性資産の売却(売却益)を読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
今回の問題では土地(非償却性資産)の売却かつ帳簿価額<売却額であるため、非償却性資産の売却(売却益)のパターンであることが読み取れます。
【今回の取引パターン】
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には3つの勘定科目が登場します。
土地の減少
問題文の「土地(1,920,000円)を売却し、代金は当社の普通預金口座に振り込まれた。」より、土地が減少しています。
土地は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、土地の減少を表現するために、土地をホームポジションとは逆の貸方(右側)に記入します。
普通預金の増加
問題文の「土地を1,967,000円で売却し、代金は当社の普通預金口座に振り込まれた。」より、普通預金が増加しています。
普通預金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、普通預金の増加を表現するために、普通預金をホームポジションの借方(左側)に記入します。
固定資産売却益の発生
問題文の「土地(1,920,000円)を1,967,000円で売却し、~」より、固定資産売却益が発生しています。
固定資産売却益は収益グループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、固定資産売却益の発生を表現するために、固定資産売却益のホームポジションである貸方(右側)に記入します。
有形固定資産の売却の仕訳問題の解き方まとめ
簿記3級の有形固定資産の売却の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう!
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!