【簿記3級】給料の仕訳問題をわかりやすく解説

簿記3級で出題される給料の仕訳問題

簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。

部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。

この記事では、簿記3級で出題される給料の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

なお、今の実力を試したい方向けに、給料の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。

給料の概要

給料とは、従業員に給料の支払いを計上する際に使用する勘定科目です。
損益計算書の費用グループに属します。



給料の仕訳問題では、立替金や預り金もセットで登場することが多いです。
立替金とは、従業員負担の支払いを自社で立て替えて支払う際に使用する勘定科目です。後に現金等で返ってくることから、立替金は貸借対照表の資産グループに属します。

預り金とは、従業員が負担すべき金銭を、会社が一時的に預かったときに使用する勘定科目です。具体例としては、従業員の給与から差し引いた（源泉徴収した）社会保険料や、所得税、住民税などが当てはまります。貸借対照表の負債グループに属します。

給料の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。

給料の出題傾向

日商簿記3級での給料の仕訳問題は、大きく4パターンに分かれます。

1. 立替金の発生
2. 給料の発生
3. 給料の発生（立替金控除あり）
4. 預り金の納付

それぞれ一つずつ解説していきます。

①立替金の発生

従業員個人に関する支払いを、会社が立て替えて現金で支払ったときの仕訳パターンです。
このとき、従業員立替金が増加しますので、借方（左側）に従業員立替金を記入します。

②給料の発生

従業員へ給料を現金で支払ったときの仕訳パターンです。
このとき、給料が増加しますので、借方（左側）に給料を記入します。
また、所得税を差し引いて支払っており、預り金が増加しますので、貸方（右側）に預り金を記入します。

③給料の発生（立替金控除あり）

従業員への給料を現金で支払い、従業員への立替分があったときの仕訳パターンです。
このとき、給料が増加しますので、借方（左側）に給料を記入します。
また、所得税を差し引いており、預り金が増加しますので、貸方（右側）に預り金を記入します。
さらに、従業員への立替分も差し引いており、従業員立替金が増加しますので、貸方（右側）に従業員立替金を記入します。

④預り金の納付

従業員への給料から預かって（源泉徴収して）いた預り金を現金で納付したときの仕訳パターンです。
このとき、預り金が減少しますので、借方（左側）に預り金を記入します。

簿記3級での給料の配点

給料の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1～2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、給料の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。

第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

給料の問題集

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、給料の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。

• 級：簿記3級
• 出題の方式：カテゴリー別
• 論点の選択：給料
• 問題の出題数：自由

また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。

給料の仕訳問題を解く手順

給料の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。

1. 問題文から論点を読み取る
2. 問題文から取引パターンを読み取る
3. 勘定科目を仕訳に記入する

ここからは、給料の仕訳問題を解く手順を一つずつ解説します。

①問題文から論点を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引（「商品を販売し、代金を現金で受け取る」などの取引）と異なる点のことを指します。

下の事例では「給料の支給」と書いてあるため、給料の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターンを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。（例：「商品の販売時」と「代金の回収時」など）

下の事例では「所得税の源泉徴収分および従業員負担分の社会保険料を差し引いた残額を振り込んだ」と書いてあるため、給料の発生のパターンであることが読み取れます。

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。

給料の仕訳問題の事例

以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。

給料の仕訳問題

この問題の正解は選択肢③でした。

給料の仕訳問題の解答解説

「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。

①問題文から論点＝給料を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「従業員から源泉徴収していた所得税」と書いてあるため、給料の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターン＝預り金の納付のパターンを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。

今回の問題では「所得税を納付した」と書いてあるため、預り金の納付のパターンであることが読み取れます。

【今回の取引パターン】

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には2つの勘定科目が登場します。

預り金の減少

問題文の「源泉徴収していた所得税を納付した」より、預り金が減少しています。
預り金は貸借対照表の負債グループに属する勘定科目であるため、貸方（右側）がホームポジションです。
したがって、預り金の減少を表現するために、預り金をホームポジションとは逆の借方（左側）に記入します。

現金の減少

問題文の「所得税56,800円を現金で納付した」より、現金が減少しています。
現金は貸借対照表の資産グループに属する勘定科目であるため、借方（左側）がホームポジションです。
したがって、現金の減少を表現するために、現金をホームポジションとは逆の貸方（右側）に記入します。


以上より正しい仕訳は選択肢③となります。

給料の仕訳問題の解き方まとめ

簿記3級の給料の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。

試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう！

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう！