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2024/06/14

利益を増やす価格設定は?クイズで学ぶ経営判断の考え方トレーニング

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適切な経営判断を行うためには、判断の基礎となる「現場のデータ」を整理する必要があります。
この現場のデータを整理するために、簿記・会計の知識が必要不可欠となります。

この記事では、ビジネスホテルの事例をもとに、経営施策で使える会計の知識をわかりやすく解説します。

早速ですが、ここでクイズです。
あなたは小規模のビジネスホテルを経営しています。
販売データと費用の内訳は以下の通りです。

販売データ

  • ホテルの部屋数: 30室
  • 当月は1日あたり25人が利用しています。
  • 客室料金: 1泊あたり8,000円


変動費

  • 客室の清掃費用: 1泊あたり800円(業務委託)
  • アメニティ費用: 1泊あたり500円
  • 消耗品費用 (タオル、シーツなど): 1泊あたり200円
  • 予約サイト手数料: 売上の5%


固定費

  • 建物の家賃: 月額1,150,000円
  • 人件費: 月額3,200,000円 (オーナー自身の労働やスタッフの給与)
  • その他経費: 月額225,000円 (オフィス消耗品、通信費、電話代など)


あなたが事業責任者の場合、月間の利益を増やすために価格を下げますか?上げますか?それとも維持しますか?
なお、1か月は30日とします。

  • ※客室料金を7,000円に下げると、部屋数は満室になります。
  • ※客室料金を9,000円に上げると、1日あたりの利用人数が21人に減ります。

ビジネスホテルの会計クイズ

新卒くんのアイコン

新卒くん

数字が多くてぜんぜん分からないです…

最初は全くわからなくても問題ありません。この記事を読み終わる頃には、経営施策の考え方が身に付いているはずです。
今回は、財務分析トレーニングの特集として、「適切な価格を設定するための考え方」を解説します。

経営者や事業責任者はもちろん、現場で活躍される方にとっても、役に立つ内容となっています。
ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。

目次

  • ホテル事業の基本的な考え方とは?
  • 収益モデル
  • コスト構造
  • 利益率モデル
  • ホテル事業のデータを整理する方法とは?
  • 1日あたりの売上高を計算
  • 1日あたりの変動費を計算
  • 1日あたりの貢献利益を計算
  • 月間の貢献利益を計算
  • 月間の営業利益を計算
  • ホテル事業の適切な価格設定は?
  • 値下げをした場合
  • 値上げした場合
  • 適切な経営判断を行うための学習方法
  • 基礎知識を身に付けよう
  • 数字に触れよう
  • 経営判断力を鍛えるトレーニングをしよう

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ホテル事業の基本的な考え方とは?

はじめに、ホテル事業の基本的な考え方を解説します。
価格設定を行う前に、ビジネスホテルの売上高や利益を計算する方法について押さえておきましょう。

収益モデル

ビジネスホテルの売上高は、客室料金×利用人数で求めることができます。

  • 売上高=客室料金×利用人数

例えば、客室料金が1,000円で利用人数が10人の場合、売上高は10,000円になります。
ビジネスホテルの収益モデル

コスト構造

ビジネスホテルのコスト構造は、利用人数が増えるごとに増加する変動費と、利用人数に関わらず一定の費用が発生する固定費で構成されています。

  • 変動費
  • 固定費

変動費の具体例としては、客室の清掃費用やアメニティ費用、消耗品費用などがあります。
一方、固定費の具体例としては、ホテルの家賃やそこで働いている従業員の人件費、通信費などの経費があります。

これら全ての費用を足し合わせることで、ビジネスホテルの総費用を計算することができます。
ビジネスホテルのコスト構造
変動費と固定費を1から学びたい方は、下記の記事をご覧ください。

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利益率モデル

利益率モデルとは、商品を1単位販売した時に、どの程度の利益を得ることができるのかを表す概念です。貢献利益や限界利益などと表現する場合もあります。

ビジネスホテルの利益率モデルは、利用人数1人あたりの売上高から利用人数1人あたりの変動費を差し引くことで、算出することができます。

  • 貢献利益=利用人数1人あたりの売上-利用人数1人あたりの変動費

また、この貢献利益から固定費を差し引くことで営業利益を求めることができます。
ビジネスホテルの利益率モデル

ホテル事業のデータを整理する方法とは?

それでは、上記の内容を踏まえて、冒頭のクイズに登場したデータを整理してみましょう。
ビジネスホテルの事業データの整理

1日あたりの売上高を計算

はじめに、1日あたりの売上高を計算します。
今回のビジネスホテルは、客室料金が1泊あたり8,000円1日あたりの利用人数が25人です。

  • ホテルの部屋数: 30室
  • 当月は1日あたり25人が利用しています。
  • 客室料金: 1泊あたり8,000円

ビジネスホテルの1日あたりの売上高は、客室料金に利用人数をかけて求めることができます。

  • 1日あたりの売上高=客室料金8,000円×利用人数25人=200,000円

計算式に当てはめると、1日あたりの売上高は200,000円であることが分かりました。
ビジネスホテルの1日あたりの売上高

1日あたりの変動費を計算

次に、1日あたりの変動費を計算します。

  • 客室の清掃費用: 1泊あたり800円
  • アメニティ費用: 1泊あたり500円
  • 消耗品費用 (タオル、シーツなど): 1泊あたり200円
  • 予約サイト手数料: 売上の5%(1泊あたり400円)

変動費は、すべての費用を足し合わせることで、求めることができます。

  • 1人あたりの変動費合計 = 客室の清掃費用800円+アメニティ費用500円+消耗品費用200円+予約サイト手数料400円(1泊8,000円×5%)=1,900円

ビジネスホテルの1人あたりの変動費
今回は、1日あたり25人が利用しているため、利用人数の25人もかける必要があります。

  • 1日あたりの変動費合計=1人あたりの変動費合計1,900円×利用人数25人=47,500円

これでビジネスホテルの1日あたりの変動費を計算することができました。
ビジネスホテルの1日あたりの変動費

1日あたりの貢献利益を計算

売上高と変動費を計算したら、1日あたりの貢献利益を計算します。
貢献利益は、売上高から変動費を差し引くことで求めることができます。

  • 1日あたりの貢献利益=売上高200,000円-変動費47,500円=152,500円

ビジネスホテルの1日あたりの貢献利益

月間の貢献利益を計算

今回は、月間の利益を増やす施策を考えるため、貢献利益の単位を月間単位に直す必要があります
問題文に、「1か月は30日とします」と記載されているため、1日あたりの貢献利益に30日をかけて月間の貢献利益を求めます。

  • 月間貢献利益=1日あたりの貢献利益152,500円×30日=4,575,000円

ビジネスホテルの月間の貢献利益

月間の営業利益を計算

最後に、月間貢献利益から月間の固定費を差し引いて、現状の月間営業利益を計算します
問題文にある固定費を合計すると、4,575,000円の固定費が発生していることが分かります。
ビジネスホテルの固定費
先ほど求めた貢献利益に固定費を差し引いて、月間営業利益を求めます。

  • 月間営業利益=月間貢献利益4,575,000円-月間固定費4,575,000円=0円

計算式に当てはめると、現状の1ヶ月あたりの営業利益は0円であることがわかりました。
ビジネスホテルの月間の営業利益

上司のアイコン

上司

利益は出してもらわないと困るよ。

新卒くんのアイコン

新卒くん

そうですよね…
次の月は利益を残せるように新しく経営施策を打ってみます。

ホテル事業の適切な価格設定は?

それでは、ここまでの内容を踏まえて、冒頭のクイズに挑戦してみましょう。
あなたは小規模のビジネスホテルを経営しています。
販売データと費用の内訳は以下の通りです。

販売データ

  • ホテルの部屋数: 30室
  • 当月は1日あたり25人が利用しています。
  • 客室料金: 1泊あたり8,000円


変動費

  • 客室の清掃費用: 1泊あたり800円(業務委託)
  • アメニティ費用: 1泊あたり500円
  • 消耗品費用 (タオル、シーツなど): 1泊あたり200円
  • 予約サイト手数料: 売上の5%


固定費

  • 建物の家賃: 月額1,150,000円
  • 人件費: 月額3,200,000円 (オーナー自身の労働やスタッフの給与)
  • その他経費: 月額225,000円 (オフィス消耗品、通信費、電話代など)


あなたが事業責任者の場合、月間の利益を増やすために価格を下げますか?上げますか?それとも維持しますか?
なお、1か月は30日とします。

  • ※客室料金を7,000円に下げると、部屋数は満室になります。
  • ※客室料金を9,000円に上げると、1日あたりの利用人数が21人に減ります。

ビジネスホテルの会計クイズ

タップで回答を見ることができます

1

値下げをするべき

2

値上げをするべき

3

価格は維持すべき

一緒に考えてみよう




このクイズの正解は、選択肢①の値下げをするべきでした。
みなさん分かりましたか?
ビジネスホテルの会計クイズ:正解発表
それでは、ここから解説に入ります。

値下げをした場合

はじめに、正解の選択肢である値下げをした場合を見ていきます。
値下げをした場合

1日あたりの売上高を計算

値下げをした場合、客室料金は1泊あたり7,000円1日あたりの利用人数は30人になります。

  • ホテルの部屋数: 30室
  • 1日あたりの利用人数30人
  • 客室料金: 1泊あたり7,000円

したがって、1日あたりの売上高は210,000円になります。

  • 1日あたりの売上高=客室料金7,000円×利用人数30人=210,000円

値下げをした場合の1日あたりの売上高

1日あたりの変動費を計算

次に、1日あたりの変動費を計算します。
今回は、1人あたりの売上高が7,000円に下がったため、予約サイト手数料が1泊あたり350円に変更されている点に注意しましょう

  • 客室の清掃費用: 1泊あたり800円
  • アメニティ費用: 1泊あたり500円
  • 消耗品費用 (タオル、シーツなど): 1泊あたり200円
  • 予約サイト手数料: 売上の5%(1泊あたり350円)

ビジネスホテルの1人あたりの変動費

これらの変動費をすべて足し合わせ、利用人数30人をかけると、1日あたりの変動費は55,500円と求めることができます。

  • 1日あたりの変動費合計 = 客室の清掃費用800円+アメニティ費用500円+消耗品費用200円+予約サイト手数料350円(1泊7,000円×5%)×30人=55,500円

値下げをした場合の1日あたりの変動費

1日あたりの貢献利益を計算

売上高と変動費を計算したら、1日あたりの貢献利益を計算します

  • 1日あたりの貢献利益=売上高210,000円-変動費55,500円=154,500円

値下げをした場合の1日あたりの貢献利益

月間の貢献利益を計算

1日あたりの貢献利益を計算したら、月間単位に直します

  • 月間貢献利益=1日あたりの貢献利益154,500円×30日=4,635,000円

値下げをした場合の月間の貢献利益

月間の営業利益を計算

最後に、月間営業利益を計算します
固定費の金額は利用人数に関係なく発生するため、4,575,000円です。
ビジネスホテルの固定費
以上を踏まえて計算式に当てはめると、値下げした場合の月間営業利益は60,000円となり、利益を残せることが分かります

  • 月間営業利益=月間貢献利益4,635,000円-月間固定費4,575,000円=60,000円

値下げをした場合の月間の営業利益

値上げした場合

次に、値上げした場合を見ていきます。
値上げをした場合

1日あたりの売上高を計算

値上げをした場合、客室料金は1泊あたり9,000円1日あたりの利用人数は21人になります。

  • ホテルの部屋数: 30室
  • 1日あたりの利用人数21人
  • 客室料金: 1泊あたり9,000円

したがって、1日あたりの売上高は189,000円になります。

  • 1日あたりの売上高=客室料金9,000円×利用人数21人=189,000円

値上げをした場合の1日あたりの売上高

1日あたりの変動費を計算

次に、1日あたりの変動費を計算します。
今回は、1人あたりの売上高が9,000円に上がったため、予約サイト手数料が1泊あたり450円に変更されている点に注意しましょう

  • 客室の清掃費用: 1泊あたり800円
  • アメニティ費用: 1泊あたり500円
  • 消耗品費用 (タオル、シーツなど): 1泊あたり200円
  • 予約サイト手数料: 売上の5%(1泊あたり450円)

値上げをした場合の1人あたりの変動費

これらの変動費をすべて足し合わせ、利用人数21人をかけると、1日あたりの変動費は40,950円と求めることができます。

  • 1日あたりの変動費合計 = 客室の清掃費用800円+アメニティ費用500円+消耗品費用200円+予約サイト手数料450円(1泊9,000円×5%)×21人=40,950円

値上げをした場合の1日あたりの変動費

1日あたりの貢献利益を計算

売上高と変動費を計算したら、1日あたりの貢献利益を計算します。

  • 1日あたりの貢献利益=売上高189,000円-変動費40,950円=148,050円

値上げをした場合の1日あたりの貢献利益

月間の貢献利益を計算

1日あたりの貢献利益を計算したら、月間単位に直します

  • 月間貢献利益=1日あたりの貢献利益148,050円×30日=4,441,500円

値上げをした場合の月間の貢献利益

月間の営業利益を計算

最後に、月間営業利益を計算します
固定費の金額は利用人数に関係なく発生するため、4,575,000円です。
ビジネスホテルの固定費
以上を踏まえて計算式に当てはめると、値上げした場合の月間営業利益は-133,500円となり、赤字となってしまいます

  • 月間営業利益=月間貢献利益4,441,500円-月間固定費4,575,000円=-133,500円

値上げをした場合の月間の営業利益
したがって、利益を残す場合は、値下げをする判断が正しいという結論になります
ビジネスホテルの会計クイズ:正解発表

適切な経営判断を行うための学習方法

今回はビジネスホテルを事例に、適切な経営判断に必要となるデータ整理会計知識について解説しました!
正しい経営判断を行うためには、その前提として、データの整理と会計の知識が必要となります。

最後に、適切な経営判断を行うために必要となる知識を身に付けるための勉強方法について紹介します。

基礎知識を身に付けよう

決算書に登場する会計用語が何を意味しているのかを知ることが大切です。
今回のケースでは、「変動費」や「固定費」、さらには「貢献利益」などの意味がわからなければ、経営判断をすることができません。
したがって、まずは簿記3級・2級レベルの基礎知識を身に付けることが大切です。

数字に触れよう

各数値のデータの計算方法を学ぶことで、最終的に利益が残るのかを知ることが可能となります。
今回のケースでは、ビジネスホテルの収益やコスト構造がどのようになっているのか、また値下げもしくは値上げをした場合の計算方法を理解できなければ、適切な経営判断をすることができせんでした。
このように、ビジネスの流れと数字の動きを体で覚えることが分析力の向上に繋がります。

経営判断力を鍛えるトレーニングをしよう

頭で考えるだけでは経営判断力は身に付きません。実際に手を動かして分析・計算をすることで、適切な経営判断をすることができるようになります
簿記学習アプリ「Funda簿記」では、正しい経営判断をするための会計の基礎知識や、利益シミュレーションが学べる問題演習を豊富に用意しています。
簿記学習アプリ「Funda簿記」の練習問題機能
今回扱ったビジネスホテル以外にも、化粧品ECや広告メディアなど様々なビジネスのトレーニングが可能です。
簿記学習アプリ「Funda簿記」のトレーニング
ぜひ一緒にアプリを使って経営判断力を高めましょう!
下記のリンクからアプリの詳細情報を見ることができます↓
Funda簿記の学習アプリ

この記事を書いた人

著者:大手町のランダムウォーカー

大手町のランダムウォーカー

Funda社運営

トータルSNSフォロワー20万人の会計インフルエンサー。著書の『世界一楽しい決算書の読み方』はシリーズ累計30万部突破。

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