簿記3級で出題される貸付金の仕訳問題
簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。
この記事では、簿記3級で出題される貸付金の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される貸付金の仕訳問題
- 貸付金の概要
- 貸付金の出題傾向
- 簿記3級での貸付金の配点
- 貸付金の問題集
- 貸付金の仕訳問題を解く手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から取引パターンを読み取る
- ③勘定科目を仕訳に記入する
- 貸付金の仕訳問題の事例
- 貸付金の仕訳問題
- 貸付金の仕訳問題の解答解説
- 貸付金の仕訳問題の解き方まとめ
なお、今の実力を試したい方向けに、貸付金の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。
おすすめトレーニング
貸付金の概要
貸付金とは、得意先等の他社へお金を貸し付けた場合に発生する勘定科目です。
将来的に貸し付けたお金を受け取る権利が生じるため、お金を貸し付けた際には、資産である「貸付金」を計上します。
通常、外部へお金を貸した際には利息が発生します。利息が発生する際には、収益として「受取利息」の勘定が使われます。
貸付金の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
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【図解】貸付金とは?簿記の勘定科目を仕訳を用いてわかりやすく解説
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貸付金の出題傾向
日商簿記3級での貸付金の仕訳問題は、大きく5パターンに分かれます。
- 回収時利息受取での貸し付け
- 貸付時利息受取での貸し付け
- 従業員貸付金
- 回収時利息受取での回収
- 貸付時利息受取での回収
それぞれ一つずつ解説していきます。
①回収時利息受取での貸し付け
得意先へ現金を貸し付け、貸し付けに伴う利息は返済時に元利一括返済されるときの仕訳パターンです。
このとき、貸付金が増加しますので、借方(左側)に貸付金を記入します。
※利息は返済時に受け取るため、受取利息は計上されません。
②貸付時利息受取での貸し付け
得意先へ貸し付けを行い、貸し付けに伴う利息が差し引いた金額を現金で支払ったときの仕訳パターンです。
この時、貸付金が増加しますので、借方(左側)に貸付金を記入します。
同時に、受取利息が発生しますので、貸方(右側)に受取利息を記入します。
③従業員貸付金
従業員に対して貸し付けを行ったときの仕訳パターンです。
このとき、従業員貸付金が増加しますので、借方(左側)に従業員貸付金を記入します。
④回収時利息受取での回収
得意先への貸し付けが返済期日となり、利息とともに現金で受け取ったときの仕訳パターンです。
この時、貸付金が減少しますので、貸方(右側)に貸付金を記入します。
同時に、受取利息が発生しますので、貸方(右側)に受取利息を記入します。
⑤貸付時利息受取での回収
得意先への貸し付けが返済期日となり、現金で受け取ったときの仕訳パターンです。
この時、貸付金が減少しますので、貸方(右側)に貸付金を記入します。
※利息は貸付時にすでに受け取っため、受取利息は計上されません。
簿記3級での貸付金の配点
貸付金の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、貸付金の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。
第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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簿記3級の第1問「仕訳問題」の対策方法とは?解説付き練習問題も!
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貸付金の問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、貸付金の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。
- 級:簿記3級
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:貸付・借入
- 問題の出題数:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
貸付金の仕訳問題を解く手順
貸付金の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から取引パターンを読み取る
- 勘定科目を仕訳に記入する
ここからは、貸付金の仕訳問題を解く手順を1つずつ解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引(「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引)と異なる点のことを指します。
下の事例では「貸し付け」と書いてあるため、貸付金の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターンを読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。(例:「貸付金の貸付時」と「貸付金の回収時」など)
下の事例では「取引先に貸し付け、振り込んだ」「利息は返済時に元金とともに一括返済」と書いてあるため、回収時利息受取での貸し付けのパターンであることが読み取れます。
論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。
貸付金の仕訳問題の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。
貸付金の仕訳問題
得意先に貸し付けていた800,000円の返済期日となり、普通預金口座に振り込まれた。なお、利息は貸付時に1年分を受け取っており、利率は年4%、貸付期間は1年である。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
この問題の正解は選択肢①でした。
貸付金の仕訳問題の解答解説
「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。
①問題文から論点=貸付金を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「貸し付けていた」と書いてあるため、貸付金の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターン=貸付時利息受取での回収を読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
今回の問題では「得意先に貸し付けていた」「返済日となり振り込まれた」「利息は貸し付け時に受け取っており」と書いてあるため、貸付時利息受取での回収のパターンであることが読み取れます。
【今回の取引パターン】
③勘定科目を仕訳に記入する
最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には二つの勘定科目が登場します。
貸付金の減少
問題文の「得意先に貸し付けていた800,000円の返済期日となり、普通預金に振り込まれた」より、貸付金が減少しています。
貸付金は貸借対照表の資産に含まれるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、貸付金の減少を表現するために、貸付金をホームポジションとは逆の貸方(右側)に記入します。
普通預金の増加
問題文の「得意先に貸し付けていた800,000円の返済期日となり、普通預金に振り込まれた」より、普通預金が増加しています。
普通預金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、普通預金の増加を表現するために、普通預金をホームポジションの借方(左側)に記入します。
以上より正しい仕訳は選択肢①となります。
貸付金の仕訳問題の解き方まとめ
簿記3級の貸付金の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう!
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!