【簿記3級】借入金の仕訳問題をわかりやすく解説

簿記3級で出題される借入金の仕訳問題

簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。


部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。


この記事では、簿記3級で出題される借入金の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

なお、今の実力を試したい方向けに、借入金の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。

借入金の概要

借入金とは、取引先等の他社からお金を借り入れた場合に発生する勘定科目です。
将来的に借りたお金を返済する義務が生じるため、お金を借りた際には、負債に「借入金」を計上します。


通常、外部からお金を借りた際には利息が発生します。利息が発生する際には、費用として「支払利息」の勘定が使われます。

借入金の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。

借入金の出題傾向

日商簿記3級での借入金の仕訳問題は、大きく4パターンに分かれます。

1. 返済時利息払いでの借り入れ
2. 借入時利息払いでの借り入れ
3. 返済時利息払いでの返済
4. 借入時利息払いでの返済

それぞれ一つずつ解説していきます。

①返済時利息払いでの借り入れ

取引銀行から借り入れを行って現金で受け取り、借り入れに伴う利息は返済時に元利一括返済するときの仕訳パターンです。
このとき、借入金が増加しますので、貸方（右側）借入金を記入します。
※利息は返済時に支払うため、支払利息は計上されません。

②借入時利息払いでの借り入れ

取引銀行から借り入れを行って、借り入れに伴う利息が差し引かれた金額を現金で受け取ったときの仕訳パターンです。
この時、借入金が増加しますので、貸方（右側）に借入金を記入します。
同時に、支払利息が発生しますので、借方（左側）に支払利息を記入します。

③返済時利息払いでの返済

取引銀行からの借り入れが返済期日となり、利息とともに現金で支払ったときの仕訳パターンです。
この時、借入金が減少しますので、借方（左側）に借入金を記入します。
同時に、支払利息が発生しますので、借方（左側）に支払利息を記入します。

④借入時利息払いでの返済

取引銀行からの借り入れが返済期日となり、現金で支払ったときの仕訳パターンです。
この時、借入金が減少しますので、借方（左側）に借入金を記入します。
※利息は借入時にすでに支払ったため、支払利息は計上されません。

簿記3級での借入金の配点

借入金の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1～2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、借入金の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。

第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

借入金の問題集

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、借入金の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。

• 級：簿記3級
• 出題の方式：カテゴリー別
• 論点の選択：貸付・借入
• 問題の出題数：自由

また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。

借入金の仕訳問題を解く手順

借入金の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。

1. 問題文から論点を読み取る
2. 問題文から取引パターンを読み取る
3. 勘定科目を仕訳に記入する

ここからは、借入金の仕訳問題を解く手順を１つずつ解説します。

①問題文から論点を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引（「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引）と異なる点のことを指します。

下の事例では「銀行から借入」と書いてあるため、借入金の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターンを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。（例：「借入金の借入時」と「借入金の返済時」など）

下の事例では「借り入れ、振り込まれた」「返済時に元利一括返済」と書いてあるため、返済時利息払いでの借り入れのパターンであることが読み取れます。


論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。

借入金の仕訳問題の事例

以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳として正しいものを選択肢から選んでください。

借入金の仕訳問題

この問題の正解は選択肢①でした。

借入金の仕訳問題の解答解説

「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。

①問題文から論点＝借入金を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「取引銀行から借り入れていた」と書いてあるため、借入金の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターン＝借入時利息払いでの返済を読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。

今回の問題では「借り入れていた」「返済日を迎えたため返済した」「利息は借入時に支払っており」とかいてあるため、借入時利息払いでの返済のパターンであることが読み取れます。

【今回の取引パターン】

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には二つの勘定科目が登場します。

借入金の減少

問題文の「借り入れていた300,000円について、返済日を迎えたため普通預金から元本を一括返済した」より、借入金が減少しています。
借入金は貸借対照表の負債に含まれるため、貸方（右側）がホームポジションです。
したがって、借入金の減少を表現するために、借入金をホームポジションとは逆の借方（左側）に記入します。

普通預金の減少

問題文の「普通預金から元本を一括返済した」より、普通預金が減少しています。
普通預金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方（左側）がホームポジションです。
したがって、普通預金の減少を表現するために、普通預金をホームポジションとは逆の貸方（右側）に記入します。


以上より正しい仕訳は選択肢①となります。

借入金の仕訳問題の解き方まとめ

簿記3級の借入金の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。

試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう！

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう！