【簿記3級】支払手形の仕訳問題をわかりやすく解説

簿記3級で出題される支払手形の仕訳問題

簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。

部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。

この記事では、簿記3級で出題される支払手形の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。

なお、今の実力を試したい方向けに、支払手形の仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。

支払手形の概要

支払手形とは、商品の購入の代金の支払い手段として約束手形を振り出した場合に増加する勘定科目です。
約束手形代金を支払う義務として、負債に計上されます。


支払手形の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。

支払手形の出題傾向

日商簿記3級での支払手形の仕訳問題は、大きく3パターンに分かれます。

1. 全額約束手形の振り出し
2. 一部約束手形の振り出し
3. 手形代金の支払い

それぞれ１つずつ解説していきます。

①全額を約束手形の振り出しにしたときの仕訳

商品を仕入れ、代金の全額に約束手形を振り出したときの仕訳パターンです。
このとき、支払手形が増加しますので、貸方（右側）に支払手形を記入します。

なお、仕入代金ではなく、掛代金の支払いとして約束手形を振り出すケースもあります。（仕訳の借方が「買掛金」になります）

②一部を約束手形の振り出しにしたときの仕訳

商品を仕入れ、代金の一部に約束手形を振り出したときの仕訳パターンです。
このとき、支払手形が増加しますので、貸方（右側）に支払手形を記入します。
また、代金の一部のみ支払手形としているため、他の決済手段（現金など）の勘定科目も貸方に記入します。

③手形代金を支払ったときの仕訳

約束手形の支払期日が到来し、代金を支払ったときの仕訳パターンです。
このとき、支払手形が減少しますので、借方（左側）に支払手形を記入します。

簿記3級での支払手形の配点

支払手形の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1～2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、支払手形の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。

第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

支払手形の問題集

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、支払手形の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記のとおりです。

• 級：簿記3級
• 出題の方式：カテゴリー別
• 論点の選択：手形取引
• 問題の出題数：自由

また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。

支払手形の仕訳問題を解く手順

支払手形の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。

1. 問題文から論点を読み取る
2. 問題文から取引パターンを読み取る
3. 勘定科目を仕訳に記入する

ここからは、支払手形の仕訳問題を解く手順を１つずつ解説します。

①問題文から論点を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引（「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引）と異なる点のことを指します。

下の事例では「商品を仕入れ」「約束手形を振り出した」と書いてあるため、支払手形の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターンを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買取引以外には、基本的に取引パターンが複数あります。（例：「代金の支払い時」と「掛代金の支払い時」など）

下の事例では「商品を仕入れ」「約束手形を振り出して」と書いてあるため、手形の振り出し時・全額約束手形の取引パターンであることが読み取れます。

論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。

支払手形の仕訳問題の事例

以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳としてを正しいものを選択肢から選んでください。

支払手形の仕訳問題

この問題の正解は選択肢①でした。

支払手形の仕訳問題の解説

「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。

①問題文から論点＝支払手形を読み取る

最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。

今回の問題では「振り出した約束手形」と書いてあるため、支払手形の論点であることが読み取れます。

②問題文から取引パターン＝手形代金の支払いを読み取る

次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。

今回の問題では「振り出した約束手形」「当座預金口座から支払った」と書いてあるため、手形代金の支払いのパターンであることが読み取れます。

【今回の取引パターン】

③勘定科目を仕訳に記入する

最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には2つの勘定科目が登場します。

支払手形の減少

問題文の「振り出した約束手形100,000円が支払期日を迎えた」より、支払手形が減少しています。
支払手形は負債グループに属する勘定科目であるため、貸方（右側）がホームポジションです。
したがって、支払手形の減少を表現するために、支払手形をホームポジションとは逆の借方（左側）に記入します。

当座預金の減少

問題文の「振り出した約束手形100,000円を当座預金口座から支払った」より、当座預金が減少しています。
当座預金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方（左側）がホームポジションです。
したがって、当座預金の減少を表現するために、当座預金をホームポジションとは逆の貸方（右側）に記入します。



以上より正しい仕訳は選択肢①となります。

支払手形の仕訳問題の解き方まとめ

簿記3級の支払手形の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。

試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう！

簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう！