仕入先別に買掛金の増減を管理する際は、買掛金元帳という帳簿に記録します。
この記事では、買掛金元帳の基本概念や記入方法、実際の試験形式についてを簿記初心者向けに分かりやすく解説します。簿記3級では頻出のため、試験本番で点数を取れるようにしておきましょう。
目次
- 買掛金元帳とは?
- 補助元帳とは
- 買掛金元帳の記入方法とは?
- 買掛金元帳の記入例
- 実際の試験形式
- 買掛金元帳の確認問題
- 正解発表
- 買掛金元帳:まとめ
なお、簿記を基礎からしっかり学びたい方は、まずは先に下記のトレーニングから始めてみてください。
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買掛金元帳とは?
買掛金元帳(かいかけきんもとちょう)とは、仕入先別に買掛金の増減を管理する補助元帳です。買掛金元帳は、仕入先元帳と呼ばれることもあります。
補助元帳とは
補助元帳とは、特定の勘定科目を取引先別、品目別等に区分して記録するものです。
買掛金元帳は、補助元帳の一種です。
補助元帳について詳しく学びたい方はこちら
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買掛金元帳の記入方法とは?
下の図を例に買掛金元帳の記入方法について見ていきます。
- ①補助元帳の名前…補助元帳名が記入されます。
- ②日付欄…取引日を記入します。
- ③摘要欄…買掛金の取引内容を記入します。
- ④⑤借方・貸方欄…買掛金の増減を借方・貸方に記入します。
- ⑥借貸欄…補助記入帳のホームポジションを記入します。(買掛金なら貸方)
- ⑦残高欄…取引後の保有している買掛金の残高を記入します。
買掛金元帳の記入例
それでは、簡単な例題を用いて、記入手順についてを解説します。
はじめに、「7月1日 前月繰越高は800円」を記入します。
ここで言う前月繰越とは、前月の買掛金残高分のことをいいます。
そのため、摘要欄に前月繰越と記入します。
また、前月の買掛金が残っているため、貸方欄と残高欄にそれぞれ800円を記入し、借貸欄に「貸」を記入します。
次に、「7月9日 商品900円を掛けで仕入れた。」という取引を記入します。
商品を仕入れたため、摘要欄に「仕入」と記入します。
代金は掛けであるため、貸方欄に900円を記入し、残高欄を900円増加させます。
また、買掛金は貸方のままであるため、借貸欄に「〃」を記入します。
次に、「7月18日 掛けで仕入れた商品100円を返品した。」という取引を記入します。
商品を返品したため、摘要欄に「返品」と記入します。
返品に伴い買掛金が減少するため、借方欄に100円を記入し、残高欄を100円減少させます。
また、買掛金は貸方のままであるため、借貸欄に「〃」を記入します。
次に、「7月23日 買掛金1,000円を現金で支払った。」という取引を記入します。
買掛金を現金で支払ったため、摘要欄に「現金で支払」と記入します。
買掛金を支払ったことにより買掛金が減少するため、借方欄に1,000円を記入し、残高欄を1,000円減少させます。
また、買掛金は貸方のままであるため、借貸欄に「〃」を記入します。
最後に、買掛金元帳を締め切ります。
したがって、残高欄の600円を次月繰越として借方欄に記入します。
また、借方欄と貸方欄の合計金額を下に記入し、一致するかを確認します。
実際の試験形式
買掛金元帳は、簿記3級の大問2で出題されます。
取引が提示され、どの補助簿に記入されるかを選ぶ選択形式の問題です。
例題を見てわかるように、掛けで仕入れたり、買掛金を現金で支払ったりしたときに買掛金元帳への記入を行います。
本番の試験で点数を取れるように、しっかり対策しておきましょう。
買掛金元帳の確認問題
それでは、ここまでの内容を踏まえて、買掛金元帳に関する問題です。
次の取引は買掛金元帳に記入されるでしょうか?
タップで回答を見ることができます
買掛金元帳に記入される
買掛金元帳に記入されない
正解発表
正解は、選択肢②買掛金元帳に記入されないです。
買掛金元帳(かいかけきんもとちょう)とは、仕入先別に買掛金の増減を管理する補助元帳です。
問題文の取引では掛けで販売した商品が返品されたため、売掛金が減少しています。
したがって、買掛金元帳には記入されません。
販売した商品が返品されるケースを売上戻りといいます。返品があった時は、借方に売上を計上して販売時の仕訳を取り消す処理を行います。
返品処理の仕訳方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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