商品の返品処理は、簿記において非常に重要な論点ですが、簿記試験で登場すると混乱してしまう方が非常に多いです。
しかし、取引を理解してしまえば、得点源にすることも可能です。
この記事では、簿記学習者向けに商品返品時の取引事例についてをわかりやすく解説します。返品処理の知識を身につけて、簿記のスキルを向上させましょう。
目次
- 商品返品時の仕訳とは?
- 仕入戻し
- 売上戻り
- 逆仕訳とは?
- 逆仕訳を行う理由
- 返品処理の取引の全体像は?
- 仕入戻しの取引の全体像
- 売上戻りの取引の全体像
- 返品処理の確認問題
- 正解発表
- 返品処理の仕訳事例
- 仕入れた商品を返品する時の仕訳事例
- 販売した商品が返品された時の仕訳事例
- 簿記検定で出題される返品の問題
- 返品の仕訳問題の配点
- 返品処理の仕訳問題に挑戦
- 返品処理の帳簿上の動き
- 仕入戻しの帳簿上の動き
- 売上戻りの帳簿上の動き
- 返品処理のまとめ
なお、簿記を基礎からしっかり学びたい方は、まずは先に下記のトレーニングから始めてみてください。
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商品返品時の仕訳とは?
商品を返品する際の取引は主に2つあります。
簿記において頻出の論点のため、しっかり理解して使いこなせるようにしましょう。
- 仕入戻し
- 売上戻り
仕入戻し
仕入れた商品を品違いで返品する場合があります。これを仕入戻しといいます。
返品をした時は、貸方に仕入を計上して仕入時の仕訳を取り消します。
売上戻り
一方、販売した商品が返品されるケースもあります。これを売上戻りといいます。
返品があった時は、借方に売上を計上して販売時の仕訳を取り消します。
このように元の仕訳と逆の仕訳を行うことを逆仕訳といいます。
逆仕訳とは?
逆仕訳とは、以前に行なった仕訳と借方・貸方の勘定科目を逆にして行なう仕訳のことをいいます。
逆仕訳を行うことで取引自体が無かったこととして扱われます。
反対仕訳や取消仕訳、訂正仕訳と呼ばれることもありますが、すべて意味は同じです。
逆仕訳を行う理由
勘定科目や金額を誤ってしまった場合、データ自体を直接書き換えて修正すると思われる方も少なくないはずです。
しかし、簿記の世界では、間違えたからといって、過去の仕訳を直接書き換えたり、データを削除したりなど、物理的に消去することは行われません。
なぜなら、過去に遡って取引内容自体を修正してしまうと、取引の流れが把握できなくなる恐れや、不正に利用されてしまう可能性があるからです。
そのため、取引を修正する場合、逆仕訳を切り、過去の仕訳内容を併せて確認できる状態にしつつ訂正を行ないます。
返品処理の取引の全体像は?
返品処理の取引の流れの全体像を解説します。
仕入戻しの取引の全体像
最初に、仕入戻しの取引の全体像を紹介します。
商品の仕入れ時
まず、商品を仕入れた際は、仕入が発生すると同時に代金を支払います。
商品の返品時
その後、仕入れた商品を返品する場合は、代金が返金されるとともに仕入を取り消します。
売上戻りの取引の全体像
次に、売上戻りの取引の全体像を紹介します。
商品の販売時
まず、商品を販売した際は、売上が発生すると同時に代金を受け取ります。
商品の返品時
その後、販売した商品が返品された場合は、代金を返金するとともに売上を取り消します。
返品処理の確認問題
それでは、ここまでの内容を踏まえて、返品処理に関する問題です。
商品販売時の取引仕訳を返品に伴って取り消す際、借方に計上する勘定科目は次のうちどれでしょう?
タップで回答を見ることができます
現金
売掛金
売上
仕入
正解発表
正解は、選択肢③売上でした。
商品販売時の取引仕訳を返品に伴って取り消す際、借方に売上を計上します。これにより、売上の増加分を取り消し、取引をなかったこととして扱います。
返品処理の仕訳事例
簿記上の取引事例を通じて、返品処理の仕訳方法について解説します。
仕入れた商品を返品する時の仕訳事例
当社は、A社から現金で仕入れた商品1,000円分を返品した。
上記の取引事例を使い、仕入れた商品を返品する時の仕訳の流れを順に説明します。
<前提>商品の仕入時
商品を現金で仕入れた際は、仕入が発生し現金が減少します。
したがって、借方(左側)に仕入(費用)1,000円を記入し、貸方(右側)に現金(資産)1,000円を記入します。
仕入れた商品の返品時:現金の増加と仕入の取り消し
仕入れた商品を返品する際は、逆仕訳を行うことで、取引自体を無かったことにします。
そのため、借方(左側)に現金(資産)1,000円を記入し、貸方(右側)に仕入(費用)1,000円を記入します。
販売した商品が返品された時の仕訳事例
当社は、現金で販売した商品1,000円が品違いのため返品された。
上記の取引事例を使い、販売した商品が返品された時の仕訳の流れを順に説明します。
<前提>商品の販売時
商品を現金で販売した際は、売上が発生し現金が増加します。
したがって、借方(左側)に現金(資産)1,000円を記入し、貸方(右側)に売上(収益)1,000円を記入します。
販売した商品の返品時:現金の減少と売上の取り消し
販売した商品が返品された際は、逆仕訳を行うことで、取引自体を無かったことにします。
そのため、借方(左側)に売上(収益)1,000円を記入し、貸方(右側)に現金(資産)1,000円を記入します。
簿記検定で出題される返品の問題
返品処理は、簿記検定でも頻出の論点です。
特に日商簿記検定3級の試験では、第1問で返品の問題がよく出題されています。
具体的には、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題です。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
返品の仕訳問題の配点
返品処理の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、返品処理の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。
返品処理の仕訳問題が苦手な方や第1問の仕訳問題で満点を狙っている方は、ぜひ下記の試験対策記事を参考にしてみてください。
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【簿記3級】返品の仕訳問題をわかりやすく解説
boki.funda.jp/blog/article/returning-products-test
boki.funda.jp/blog
返品処理の仕訳問題に挑戦
簿記検定で頻出の論点である返品処理の仕訳問題を解けるようになるためには、練習問題をたくさん解く必要があります。
Funda簿記の公式LINEでは、仕訳問題を無料で解くことができます。
この記事の内容の復習として、早速、下記のLINEアプリから練習問題に挑戦してみてください。
返品処理の帳簿上の動き
最後に、仕入戻しと売上戻りの帳簿上での動きを解説します。
帳簿上の動きは、簿記を理解する際に、非常に重要となるため、必ず押さえておきましょう。
仕入戻しの帳簿上の動き
商品を現金払いで仕入れた際は、仕入が発生し現金が減少します。
仕入れた商品を返品する時は、逆仕訳を行うことで取引がなかった状態にします。
売上戻りの帳簿上の動き
商品を販売し現金で受け取った際は、売上が発生し現金が増加します。
販売した商品が返品された時は、逆仕訳を行うことで取引がなかった状態にします。
返品処理のまとめ
今回は簿記3級に登場する返品処理(仕入戻し・売上戻り)の取引事例を解説しました。
商品を返品する際は、逆仕訳を行い取引自体を無かったことにします。
試験問題でも登場する可能性の高い取引事例であるため、しっかり理解しておきましょう!
また、決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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