簿記3級で出題される諸掛の仕訳問題
簿記3級では、問題文で与えられている取引を仕訳に変換する仕訳問題が出題されます。
通常、勘定科目と金額の完全解答で、配点が付与されます。
部分点方式ではありませんので、似ている勘定科目名を選んだり、金額の入力ミスをしたりしないように注意しましょう。
この記事では、簿記3級で出題される諸掛の仕訳問題について解説しています。
問題の出題傾向や解き方を紹介していますので、簿記3級を勉強中の方はぜひご覧ください。
最後には本試験レベルの練習問題も用意していますので、ぜひ挑戦してみてください。
目次
- 簿記3級で出題される諸掛の仕訳問題
- 諸掛の概要
- 諸掛の出題傾向
- 簿記3級での諸掛の配点
- 諸掛の問題集
- 諸掛の仕訳問題を解く手順
- ①問題文から論点を読み取る
- ②問題文から取引パターンを読み取る
- ③勘定科目と金額を仕訳に記入する
- 諸掛の仕訳問題の事例
- 諸掛の仕訳問題
- 諸掛の仕訳問題の解説
- 諸掛の仕訳問題の解き方まとめ
なお、今の実力を試したい方向けに、諸掛りの仕訳問題を3問用意しました。
ぜひ、力試しに下記のトレーニングにも挑戦してみてください。
おすすめトレーニング
諸掛の概要
商品を仕入れた時や販売した時に発生する発送費や保険料、包装代などの付随費用のことを「諸掛り(しょがかり)」といいます。
商品を仕入れる際に発生する諸掛を「仕入諸掛り」と呼び、商品の販売の際に発生する諸掛りを「売上諸掛り」といいます。
仕入時に諸掛が発生する場合は、仕入勘定に含めて処理します。一方、販売時に諸掛が発生する場合は、内容のわかる勘定科目名(発送費等)で処理します。
諸掛の基本については、下記の記事にて詳しく解説しています。
もし知識に自信のない方は、先にご覧ください。
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諸掛り(仕入諸掛り・売上諸掛り)とは?仕訳事例を用いて解説
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諸掛の出題傾向
日商簿記3級での諸掛の仕訳問題は、大きく2パターンに分かれます。
- 仕入れに伴う費用発生
- 販売に伴う費用発生
それぞれ1つずつ解説していきます。
①仕入れに伴う費用発生
商品を仕入れた際に諸掛が発生した時の仕訳パターンです。
このとき、仕入時に発生した諸掛は仕入勘定に含めて処理しますので、借方(左側)に仕入1,100円(仕入代1,000円+発送費100円)を記入します。
②販売に伴う費用発生
商品を販売した際に諸掛が発生した時の仕訳パターンです。
このとき、販売時に発生した諸掛は内容のわかる勘定科目名で処理しますので、借方(左側)に発送費を記入します。
簿記3級での諸掛の配点
諸掛の仕訳問題は、簿記3級試験の第1問に1~2問出題されます。
第1問は45点満点で、1問3点の仕訳問題が15問出題される問題構成です。
したがって、諸掛の仕訳問題ができるようになることで、3~6点をものにすることができます。
第1問の対策方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
目安の時間配分や問題を解く際の注意点などについて触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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簿記3級の第1問「仕訳問題」の対策方法とは?解説付き練習問題も!
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諸掛の問題集
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、諸掛の仕訳問題を全パターン解くことができます。
問題を出題する設定は下記の通りです。
- 級:簿記3級
- 出題の方式:カテゴリー別
- 論点の選択:諸掛
- 問題の出題数:自由
また、Funda簿記を利用していない方も、LINEから問題を解くことができます。
ぜひ下記より練習問題に挑戦してみてください。
諸掛の仕訳問題を解く手順
諸掛の仕訳問題を解く手順は次の3ステップです。
- 問題文から論点を読み取る
- 問題文から取引パターンを読み取る
- 勘定科目と金額を仕訳に記入する
ここからは、諸掛の仕訳問題を解く手順を1つずつ解説します。
①問題文から論点を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
ここでの論点とは、通常の商品売買取引(「商品を仕入れ、代金を現金で支払う」などの取引)と異なる点のことを指します。
下の事例では、「商品を仕入れ」「引取運賃を支払った」と書いてあるため、諸掛の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターンを読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
通常の商品売買以外の取引には、基本的に取引パターンが複数あります。(例:「商品の仕入れ時」と「代金の支払い時」など)
下の事例では「商品を仕入れ」「引取運賃を支払った」と書いてあるため、仕入れに伴う費用発生のパターンであることが読み取れます。
論点を正しく読み取っても、取引パターンを読み間違えると、もちろん正しい仕訳は導き出せません。
問題文をしっかり読み、取引パターンも正確に把握しましょう。
③勘定科目と金額を仕訳に記入する
最後に、勘定科目と金額を一つずつ仕訳に記入します。
取引パターンから勘定科目が増加しているのか、減少しているのかを判断して、記入しましょう。
諸掛の仕訳問題の事例
以上を踏まえて、簿記3級の本試験レベルの仕訳問題に挑戦してみましょう。
「解く手順」を参考に、取引の仕訳としてを正しいものを選択肢から選んでください。
諸掛の仕訳問題
商品730,000円(原価510,649円)を売り上げ、代金は掛けとした。なお、当社負担の発送費用7,000円は現金で支払った。
タップで回答を見ることができます
選択肢①
選択肢②
選択肢③
この問題の正解は選択肢②でした。
諸掛の仕訳問題の解説
「解く手順」に沿ってこの問題の解き方を解説します。
①問題文から論点=諸掛を読み取る
最初に、問われている「論点」を問題文から読み取ります。
今回の問題では「商品」「発送費用を支払った」と書いてあるため、諸掛の論点であることが読み取れます。
②問題文から取引パターン=販売に伴う費用発生を読み取る
次に、問題文から問われている「取引パターン」を読み取ります。
今回の問題では「商品を売り上げ」「発送費用を支払った」と書いてあるため、販売に伴う費用発生のパターンであることが読み取れます。
【今回の取引パターン】
③勘定科目と金額を仕訳に記入する
最後に、登場する勘定科目を見落とさないように注意しながら、勘定科目と金額を仕訳に記入します。
今回の問題文には4つの勘定科目が登場します。
売上の発生
問題文の「商品730,000円(原価510,649円)を売り上げ」より、売上が発生しています。
売上は収益グループに属する勘定科目であるため、貸方(右側)がホームポジションです。
したがって、売上の発生を表現するために、売上のホームポジションである貸方(右側)に記入します。
売掛金の増加
問題文の「商品730,000円(原価510,649円)を売り上げ、代金は掛けとした」より、売掛金が増加しています。
売掛金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、売掛金の増加を表現するために、売掛金のホームポジションである借方(左側)に記入します。
発送費の発生
問題文の「当社負担の発送費用7,000円は現金で支払った」より、発送費が発生しています。
発送費は費用グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、発送費の発生を表現するために、発送費のホームポジションである借方(左側)に記入します。
現金の減少
問題文の「当社負担の発送費用7,000円は現金で支払った」より、現金が減少しています。
現金は資産グループに属する勘定科目であるため、借方(左側)がホームポジションです。
したがって、現金の減少を表現するために、現金のホームポジションとは逆の貸方(右側)に記入します。
以上より正しい仕訳は選択肢②となります。
諸掛の仕訳問題の解き方まとめ
簿記3級の諸掛の仕訳問題の解き方を解説してきました。
簿記3級の中で最も基本的な取引の一つであるため、試験を受ける方は必ず解けるようになりましょう。
試験合格レベルになると「仕訳問題を解く手順」に沿って瞬時に解答することができるようになります。
問題を繰り返し練習して、仕訳問題を一瞬で解けるようになりましょう!
簿記の学習アプリ「Funda簿記」では、今回のような本試験レベルの問題が解き放題です。
繰り返し問題を解いて理解度を深めたい方は、ぜひFunda簿記で一緒に勉強しましょう!