株式会社の設立・増資は、ビジネス経験の無い方にとってはイメージし難い論点です。しかし、一度理解してしまえば、様々な場所で使える知識となります。
この記事では、簿記学習者はもちろん、ビジネスシーンでも使える株式会社設立・増資の取引事例についてをわかりやすく解説します。
目次
- 株式会社設立時の簿記の仕訳とは?
- 高校生でもわかる「株式会社」の解説
- 株式会社の設立時の株主
- 設立時と増資時の相違点
- 会社設立の確認問題
- 正解発表
- 会社設立時に登場する勘定科目とは?
- 資本金
- 創立費
- 開業費
- 簿記の仕訳事例:会社設立・増資
- ①資本金の出資を受けた時の仕訳事例
- ②諸費用が発生した時の仕訳事例
- ③増資を行った時の仕訳事例
- 株式会社の設立・増資の仕訳問題に挑戦
- 会社の設立・増資時の帳簿上の動きは?
- 資本金の出資を受けた時
- 創立費が発生した時
- 増資を行った時
- 株式会社の設立・増資:まとめ
株式会社設立時の簿記の仕訳とは?
株式会社設立時には、株式を発行して資金を集めることになります。この時に行う仕訳は、資本金の増加と出資を受けた対価の増加を記録します。出資される対価は現金や普通預金が中心となります。
高校生でもわかる「株式会社」の解説
株式会社とは、株主と呼ばれる人たちがお金を出し合って作る会社のことです。株主は、出資金に応じて会社の株式を持ち、会社の経営に関わる権利を持ちます。
会社が成長するにつれて、配当金などの利益を受け取ることに繋がるため、株主は大きなリターンを得る可能性があります。
一方で、仮に会社が倒産してしまった場合には、出資したお金の分だけ損失を被る可能性も同様に存在します。
関連する論点として、配当金をより詳しく知りたい方は下記の記事もお勧めです。
株式会社の設立時の株主
株式会社を設立する際に、会社の創業者自身が株主となることがよくあります。創業者は、自分が考えたアイデアやビジネスモデルを実現するために、会社を立ち上げます。その際、自分自身が出資して株式を持つことで、経営に直接関与し、会社の方針や意思決定に影響を与えることができます。
また、創業者が株主となることで、他の投資家からの出資を受け入れる際に、自分の考えに賛同してくれるパートナーを選ぶことができます。創業者が株主であることは、投資家に対して、自分がビジネスに自信を持って取り組んでいることを示すことにも繋がります。
設立時と増資時の相違点
増資とは、既に設立された株式会社が、新たな事業や投資などのために、追加で資金を集めることを目的として行われる株式の発行のことです。
設立時の株式発行は、創業時に株式を発行して資金を集めることを意味します。一方、増資は既存の株式会社が新たな資金を調達するために追加で株式を発行することを意味します。
どちらも株式を発行して資金を集める点では同じですが、目的やタイミングが異なります。
会社設立の確認問題
それでは、ここまでの内容を踏まえて、会社設立に関する問題です。
資本金が増加する資金調達方法はどれでしょう?
タップで回答を見ることができます
銀行からの借り入れ
商品の販売
株式の発行
配当金による収入
正解発表
正解は、③株式の発行です。
株式を発行することで、株式会社は株主から資金を集めます。
借入金で資金を集める場合、負債が増加します。
商品の販売や、配当金を受け取った場合、収益の発生として扱います。
会社設立時に登場する勘定科目とは?
会社設立時に登場する勘定科目はある程度限定されます。今回は下記の3つの勘定科目を順に紹介します。
- 資本金
- 創立費
- 開業費
資本金
資本金とは、会社の株主から出資されたお金を示す科目です。資本金は、会社の経営に対する株主の出資額を表し、会社の財産の一部となります。
会計上では、純資産の勘定科目となります。
創立費
創立費とは、会社設立のためにかかった費用を表す勘定科目です。
会計上では、費用の勘定科目となります。
開業費
開業費とは、会社設立後、営業を開始するまでに要した費用を表す勘定科目です。
会計上では、費用の勘定科目となります。
簿記の仕訳事例:会社設立・増資
①資本金の出資を受けた時の仕訳事例
株式会社設立時の仕訳事例を紹介します。
今回は、「会社設立にあたり、株式100株を1株あたり100円で発行し全額が普通預金口座に払い込まれた。」という取引の事例を使い、資本金の出資を受けた時の仕訳の流れを順に説明します。
資本金出資時:資本金の増加
株式を発行し、出資者から払い込まれたため、資本金が増加します。
そのため、貸方(右側)に資本金(純資産)10,000円を記入します。
資本金出資時:普通預金の増加
普通預金にお金が振り込まれたため、普通預金が増加します。
したがって、借方(左側)に普通預金(資産)10,000円を記入します。
②諸費用が発生した時の仕訳事例
次は、会社設立時に諸費用が発生した際の仕訳事例を解説します。
今回は、「会社設立にあたって、株式の発行手数料50,000円を現金で支払った。」という取引の事例を使い、諸費用が発生した時の仕訳の流れを順に説明します。
創立費発生時:創立費の発生
会社の設立時に関する諸経費は創立費という勘定科目で処理します。
そのため、借方(左側)に創立費(費用)50,000円を記入します。
創立費発生時:現金の減少
株式の発行手数料を現金で支払ったため、現金が減少します。
したがって、貸方(右側)に現金(資産)50,000円を記入します。
③増資を行った時の仕訳事例
最後は、増資の際の仕訳事例を紹介します。
今回は、「増資のため、株式100株を1株当たり200円で発行し全額が普通預金口座に払い込まれた。」という取引の事例を使い、増資を行った時の仕訳の流れを順に説明します。
新株発行時:資本金の増加
株式を発行し、出資者から財産が払い込まれたため、資本金が増加します。
そのため、貸方(右側)に資本金(純資産)20,000円を記入します。
新株発行時:普通預金の増加
普通預金口座にお金が振り込まれたため、普通預金が増加します。
したがって、借方(左側)に普通預金(資産)20,000円を記入します。
株式会社の設立・増資の仕訳問題に挑戦
ここまでの内容で、株式会社の設立・増資の仕訳の流れを理解していただけたかと思います。
早速、下記のLINEアプリから練習問題に挑戦してみてください。
会社の設立・増資時の帳簿上の動きは?
最後に、株式会社の設立・増資の帳簿上での動きを解説します。
帳簿上の動きは、簿記を理解する際に、非常に重要となるため、必ず押さえておきましょう。
資本金の出資を受けた時
創立費が発生した時
増資を行った時
株式会社の設立・増資:まとめ
今回は簿記3級に登場する株式会社の設立時と増資を行った時の取引事例を解説しました。
株式会社設立時と増資を行った時の取引の流れは仕訳問題で頻出のため覚えておく必要があります。
試験問題でも登場する可能性の高い取引事例であるため、しっかり理解しておきましょう!