固定資産を取得・売却する際、後払いで支払いを行う場合があります。
この記事では、固定資産を後払いで取得・売却した時の取引の全体像や具体的な仕訳方法についてを簿記初心者向けに分かりやすく解説します。固定資産の仕訳方法を学び、簿記のスキルを向上させましょう。
目次
- 論点:固定資産を後払いで取得したケース
- 買掛金と未払金の違い
- 固定資産を後払いで取得した時の取引の全体像は?
- 論点:固定資産を後払いで売却したケース
- 売掛金と未収入金の違い
- 固定資産を後払いで売却した時の取引の全体像は?
- 固定資産の後払いの確認問題
- 正解発表
- 簿記の仕訳事例:固定資産を後払いで取得
- 固定資産を後払いで取得した時の仕訳事例
- 簿記の仕訳事例:固定資産を後払いで売却
- 固定資産を後払いで売却した時の仕訳事例
- 固定資産の後払いの仕訳問題に挑戦
- 固定資産の後払い:帳簿上の動き
- 固定資産の後払い:まとめ
論点:固定資産を後払いで取得したケース
はじめに、固定資産を後払いで取得したケースについて解説します。
固定資産を取得する際に、その場で支払うケースの他に、後払いで支払いを行うケースが存在します。
買掛金と未払金の違い
後から代金を支払う義務を表す代表的な勘定科目に、買掛金と未払金の2つが存在します。
簿記のルールでは「本業の商品売買取引」か「それ以外」かで両者を区分します。
固定資産の取得は本業の商品売買取引ではないため、未払金の勘定科目が使用されます。
買掛金の仕訳方法についてはこちら
固定資産を後払いで取得した時の取引の全体像は?
固定資産を後払いで取得した時の取引の流れの全体像を紹介します。
固定資産の取得時
まず、固定資産を取得し代金は後払いとします。
この時、固定資産が増加すると同時に、未払金が増加します。
代金の支払い時
その後、返済期日が到来したため、代金を支払います。
結果として、代金を支払ったため現金が減少するとともに、未払金の金額が減少します。
論点:固定資産を後払いで売却したケース
次に、固定資産を後払いで売却したケースについて解説します。
取得した固定資産が不要になった場合、第三者に対して売却する場合があります。
固定資産を売却する際に、その場で代金を受け取るケースの他に、後払いで代金を受け取るケースが存在します。
売掛金と未収入金の違い
後から代金を回収する権利を意味する代表的な勘定科目に、売掛金と未収入金の2つが存在します。
簿記のルールでは「本業の商品売買取引」か「それ以外」かで両者を区分します。
固定資産の売却は本業の商品売買取引ではないため、未収入金の勘定科目が使用されます。
売掛金の仕訳方法についてはこちら
固定資産を後払いで売却した時の取引の全体像は?
固定資産を後払いで売却した取引の流れの全体像を紹介します。
固定資産の売却時
まず、固定資産を売却し代金の受け取りは後日とします。
この時、固定資産が減少すると同時に、未収入金が増加します。
代金の受け取り時
その後、期日が到来したため、代金を受け取ります。
結果として、代金を受け取ったため現金が増加するとともに、未収入金の金額が減少します。
固定資産の後払いの確認問題
それでは、ここまでの内容を踏まえて、固定資産の後払いに関する問題です。
固定資産を後払いで取得した際に用いる勘定科目は次のうちどれでしょう?
タップで回答を見ることができます
買掛金
売掛金
未払金
未収入金
正解発表
正解は、選択肢③未払金です。
固定資産を後払いで取得した際は、本業の商品売買取引ではないため、未払金の勘定科目が使用されます。
簿記の仕訳事例:固定資産を後払いで取得
簿記上の取引事例を通じて、固定資産を後払いで取得した時の仕訳方法について解説します
固定資産を後払いで取得した時の仕訳事例
「土地を1,000円で購入し、代金は翌月末の後払いとした。」という取引の事例を使い、固定資産を後払いで取得した時の仕訳の流れを順に説明します。
固定資産の取得時:土地の増加
土地を取得したことから、土地が増加します。
そのため、借方(左側)に土地(資産)1,000円を記入します。
固定資産の取得時:未払金の増加
支払いは翌月の後払いのため、未払金が増加します。
したがって、貸方(右側)に未払金(負債)1,000円を記入します。
簿記の仕訳事例:固定資産を後払いで売却
次に、簿記上の取引事例を通じて、固定資産を後払いで売却した時の仕訳方法について解説します。
固定資産を後払いで売却した時の仕訳事例
「帳簿価額1,600万円の土地を売却し、代金は翌月末の受け取りとした。」という取引の事例を使い、固定資産を後払いで売却した時の仕訳の流れを順に説明します。
固定資産の売却時:土地の減少
土地を売却したため、土地が減少します。
そのため、貸方(右側)に土地(資産)1,600万円を記入します。
固定資産の売却時:未収入金の増加
固定資産の売却の対価は翌月末に受け取る予定のため、未収入金が増加します。
したがって、借方(左側)に未収入金(資産)1,600万円を記入します。
固定資産の後払いの仕訳問題に挑戦
ここまでの内容で、固定資産の後払いの仕訳の流れを理解していただけたかと思います。
早速、下記のLINEアプリから練習問題に挑戦してみてください。
固定資産の後払い:帳簿上の動き
最後に、固定資産を後払いで取得・売却した時の帳簿上での動きを解説します。
帳簿上の動きは、簿記を理解する際に、非常に重要となるため、必ず押さえておきましょう。
固定資産を後払いで取得した時
固定資産を後払いで売却した時
固定資産の後払い:まとめ
今回は簿記3級に登場する固定資産を後払いで取得・売却した時の取引事例を解説しました。
固定資産を後払いで取得・売却した時は「買掛金・売掛金」勘定ではなく、「未払金・未収入金」勘定を使う点に注意する必要があります。
試験問題でも登場する可能性の高い取引事例であるため、しっかり理解しておきましょう!
また、決算書や企業のビジネスについて少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。
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